始業前に部活動の練習をする「朝練」を取りやめる動きが、岡山県内で相次いでいる。玉野、赤磐両市などに続き、岡山市でも来年度から全市立中で廃止されることが決定。教員の働き方の是正や子供たちの睡眠時間確保が主な狙いだが、グラウンドを広く使うなど朝しかできない練習もあり、現場では試行錯誤が続いている。(佐々木伶)
寒さの厳しい10日午前7時半頃、岡山市内の中学校のグラウンドに、野球部員9人が顧問の教諭と集まった。同校では野球部だけが、週3回、朝練を行っている。グラウンド全体が使えるので、投手や守備を交代で務めながら、3人が同時にバッティング練習に取り組めるという。
一方、放課後は陸上部と一緒にグラウンドを使うのでバッティング練習ができない。さらに、練習時間も下校時刻の午後5時半までの約1時間しかなく、キャプテンの生徒(14)は「打撃を鍛えられる貴重な時間なので朝練廃止は残念だが、準備を早くするなどして、放課後の練習時間を確保したい」と話す。
また、2年の生徒(14)は「先生も大変だったと思うし、仕方ない」と気遣い、英語を担当する野球部顧問の教諭は「朝の時間を授業準備に充てられるのは助かる。でも、どこで練習を補うかは悩ましい」と打ち明けた。
岡山市教育委員会は廃止の理由として、教員の労働時間の是正や生徒の健全な成長を挙げている。
文科省の2024年度の調査によると、中学教諭の39・5%が、国の指針で定める「月45時間」の上限を超える時間外勤務をしていた。朝練は、時間外勤務を助長する一因となる。
子育てへの影響も大きく、同校で剣道部の顧問を務める教諭は「子供を保育所に送ってからだと、登校は8時がやっとで、朝練までは難しい」と話す。
市教委によると、成長期にある中学生の栄養状態や睡眠への影響もあるといい、岡山市内の別の中学校の校長は「朝起きてすぐに家を出ることになるので、朝食の欠食につながりやすい。授業での集中に影響する生徒もいる」と話す。
県内では赤磐市が22年度から朝練を廃止するなど各自治体で同様の動きが続いている。津山市では26年度から朝練を廃止し、休日には原則部活そのものを実施しない。
20年度から原則廃止した玉野市教委の担当者は「様々な意見の教員がいたが、今は納得してもらっている。一つのグラウンドを共用する場合でも、どの時間にどの部が使うか、より細やかに話し合うことなどで解決している」と話す。
全国に先駆けて14年から、朝練の原則廃止も含めた部活動改革に着手した長野県の担当者も「導入当時、現場からの反発は小さくなかったが、今ではすっかり定着している。競技会での成績が下がったという声も聞かない」と強調する。
関西大の神谷拓教授(スポーツ教育学)は「部活動を顧問が見守らなければいけないのであれば、教員の負担を減らすために廃止するのは一定理解できる」とした上で、「スポーツの上達にはチーム全体での練習だけにこだわる必要はなく、早起きが得意な子は、課題を見つけて始業前に広場などで個人練習することも有効だ。子供たちが自分で考えて取り組む姿勢を身につける契機にしてほしい」と話す。