川崎市川崎区扇島のJFEスチール東日本製鉄所京浜地区で解体中の大型クレーンから重りが落下して男性作業員5人が転落した事故で、工事を発注したJFEスチールと、受注した東亜建設工業が14日、東京都内で事故後初めて記者会見を開いた。東亜は、重機で重りの内部を掘削する解体工法を採用したのは今回が初めてだったと説明した。
神奈川県警は同日、業務上過失致死容疑で東亜の横浜支店(横浜市中区)と、工法を提案した1次下請けの「ベステラ」(東京都江東区)を捜索。関係資料を押収し、安全管理に問題がなかったか捜査を進める。
記者会見にはJFEと東亜の幹部計6人が出席し、東亜の木下正暢・執行役員専務は「被害に遭われた方々とご家族ら、多くの方々に心配と迷惑をおかけしていることを重く受け止め、おわび申し上げる」と謝罪した。
両社によると、船から鉄鉱石などを積み下ろしする「アンローダークレーン」(高さ54メートル、幅104メートル)の両端には、円柱状の重り(直径6メートル、長さ9メートル)と、積み荷を搬送する装置「バケットエレベーター」がそれぞれ付いていた。崩落防止のため、「支保工」と呼ばれる3基の構造物でクレーン全体を支えながら、先月25日から重りの解体作業を開始。重りとバケットエレベーターを交互に解体し、バランスを取りながら進めていたという。
東亜は当初、海上から船でクレーン全体を撤去する方法を検討したが、バランスが取りづらく、油の流出懸念もあると判断。ベステラから工法を提案され、採用したという。木下氏は「確実性や安全性を判断して、今回の方法が最善だった」と強調した。
5人は、転落防止柵に囲まれた重り上部の40平方メートルほどの平面部分で、重機(約10トン)で内部のコンクリートを削る作業などをしていた。当初500トンあった重りを400トンまで削った今月7日午後、何らかの原因で重りがクレーンから外れ、5人は重りとともに約35メートルの高さから落下した。落下時、安全帯を着用していたかは不明という。現場にはクレーンのバランスを常時計測する「荷重計」が設置されていた。
事故では、千葉市稲毛区の千葉ケン志朗さん(19)、同市緑区の小池湧さん(29)、千葉県市原市の上山勝己さん(43)の3人が死亡し、1人が重傷、1人が行方不明。記者会見で東亜などは、地上で作業していた男性1人が軽傷を負ったことも明らかにした。
不明作業員の捜索難航
事故から14日で1週間が経過したが、行方不明となっている男性作業員1人の捜索が難航している。重りの落下によって桟橋に開いた穴から海中に転落したとみられ、一緒に落ちたがれきが捜索の支障となっている。
東亜建設工業などによると、穴がある場所の水深は約10メートル。大量のがれきが海底に散乱しているという。そのため同社が水中ドローンで確認しながらクレーン台船でがれきを撤去。神奈川県警や川崎海上保安署も連日、船やヘリで捜索を続けているが、14日も発見には至らなかった。