乗客乗員26人が知床沖の観光船沈没事故の運航会社社長、桂田精一被告の刑事裁判で、きょう(16日)釧路地検は禁錮5年を求刑しました。
男性検察官)
「被告人について禁錮5年に処することが相当と思料する」。
求刑が言い渡されたとき桂田被告は少しうつむいた状態で淡々と話を聞いていました。
2022年4月、知床沖で観光船「KAZUI」が沈没した事故。
起訴状などによりますと運航会社の社長=桂田精一被告は悪天候が予想される中運航管理者などでありながら運航の中止を指示せず観光船「KAZUI」を沈没させ、乗客乗員26人を死亡させた業務上過失致死の罪に問われています。
去年11月の初公判で桂田被告は事故について謝罪した上、次のように話しました。
桂田被告)
「当日の朝、カズワンの出航に関して船長から荒れる前に引き返すと言われそれなら大丈夫だろうと思い出航しました。しかし事故は起きました。私にはこの内容が法律に反するか分かりませんので法律家に判断していただきます」。
裁判の最大の争点は桂田被告が「事故を予見できたかどうか」。弁護側は「事故原因はハッチの不具合であり航行は船長の判断」などとして無罪を主張しています。
高橋海斗記者)
「桂田被告が釧路地裁へと入っていきます。いま報道陣に向かって一礼しました。2日間に渡り行われる論告求刑、今日はこれから被害者ご家族の意見陳述が行われます」。
きょう(16日)の裁判では息子を亡くした男性が出廷し桂田被告による運航判断の異常さを訴えました。
男性)
「この裁判の争点は事故を予見できたかどうかとされているが、予見しなければならない義務を怠ったことこそが問題だと思う」。
また息子が行方不明の男性は。
息子が行方不明の男性)
「お骨の一欠片になっても私たちのもとに息子が戻ってくることができないことを考えたら、悔しくて、辛すぎて、悲しすぎて、怒りで胸が詰まって張り裂けるほど苦しい思いをしています」。
そして検察側は桂田被告に対し禁錮5年を求刑しました。
女性検察官)
「弁護側は、『ハッチのふたが破損していたことは予見できないため、乗員乗客に死者が出ることも予見できない』と主張しているが、「KAZUI」に危険が生じることは、被告人が気象海象を把握していれば、予見できるとゆうに認められる」。
この求刑について法律に詳しい専門家は。
慶応義塾大学法学部・南健悟教授
「多数亡くなられたり行方不明になられているので、結果の重大性を鑑みれば十分あり得る求刑だと思う。労務をさせることが今回重要なのではなくて、基本的にはきちんと罪をつぐなっていただくところを重視しているのかもしれない」。
求刑を聞いた乗客家族は。
息子が行方不明の男性
「本当だったら5年×26人分ですよね。そのくらいのことだと私は思う」。
裁判はあす(17日)も開かれ、弁護側による最終弁論と桂田被告の最終陳述が予定されています。