クビアカツヤカミキリでサクラ枯れる樹木被害 迫る産卵期、天敵なしで年千個産卵の繁殖力

特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の食害によって、サクラなどの樹木が枯れる被害が全国で急拡大している。繁殖力が強いことから、被害を効果的に押さえ込むには自治体の対策だけでなく、地域住民の協力も必要となる。6~8月の産卵期を前に、各自治体はさまざまな住民参加型の対策を打ち出している。
近畿など17都府県で確認
クビアカツヤカミキリは、中国やベトナムなど東アジア原産のカミキリムシ科の昆虫。成虫の体長は約2~4センチで、サクラやウメなどバラ科の樹木の害虫として知られ、木の幹や枝などを内部から食い荒らして枯らしてしまう。繁殖力も非常に強く、雌1匹が毎年300~1000個の卵を産むという。国内に天敵はほぼいないとされている。
環境省によると、国内では平成24年に愛知県で初めて確認されて以降、令和8年2月までに近畿や関東を中心に17都府県で見つかっている。
大阪府では34市町村で1万4千本以上のサクラが被害を受け、1500本以上を伐採している。このまま被害が深刻化すれば、花見を楽しむことができなくなるばかりか、農業や生態系への深刻な影響が懸念される。
各自治体や果樹園の施設管理者らはこれまでも、薬剤を散布して駆除したり、木の幹にネットを巻いて被害を予防したりするなどの対策に取り組んできた。だが、驚異的な繁殖力で個体数が激増しており、被害を完全に押さえ込むのは難しいのが実情だ。
多数捕獲者にギフト券
そうした中、住民ぐるみの駆除に乗り出す自治体も増えてきた。
大阪府は今年6~8月、成虫の捕獲数を競うイベントを開催する。捕獲数が多かった参加者には、最高1万5千円分のアマゾンギフト券などの景品を贈る。イベントに先立ち、5月には被害の実態を知ってもらおうと講演会なども開く。
すでに成果を挙げている自治体もある。栃木県足利市は平成29年度にボランティアチーム「クビアカみっけ隊」を結成し、駆除した成虫の数を市に報告してもらうなどの活動を実施。地道な取り組みが実を結び、令和7年度には統計を取り始めた平成29年度以降初めて、被害樹木の合計数から治癒したり伐採したりした本数を引いた累計被害樹木数が減少に転じたという。
環境省の担当者は「被害は公園や河川敷などさまざまな場所で確認されており、行政の一部署だけでは対応が難しい。住民ぐるみで取り組むことで、身近なサクラなどの樹木を守ることにもつながる」と話している。(江森梓)