【徹底】“魚”と偽装した豚肉、未申告の大量腕時計に違法薬物も…わずかな違和感も見逃さない!関西国際空港の水際対策最前線

大阪の南部に位置する関西国際空港。2025年、過去最多となった訪日外国人の半数以上が利用した日本屈指の空の玄関口です。魚だと偽装された豚肉や、未申告の大量の腕時計、そして未承認の医薬品まで…職員たちはわずかな違和感も見逃さず日本の安全を守っています。私たちの知らない税関・検閲の徹底した水際対策に迫ります。
急増するインバウンドを歓迎する一方、強化しているのが、持ち込みを禁止している食品の取締りです。手荷物受取所のすぐ横にある『動植物検疫』では、家畜の伝染病や、農作物に被害を及ぼす病害虫の侵入を防ぐべく、農林水産省の職員が、24時間態勢で監視しています。
この日、検査を受けていたのは、ベトナムから来た女性です。
(検査官)
「これは何?お肉?」
(ベトナムからの女性)
「フィッシュ!」
女性は、持ってきたものはどれも魚だと説明しています。実際にパッケージには、魚のイラストが描かれています。魚は持ち込みが認められていて、検査の対象外ですが…。
なんと、この女性はラベルを偽装し、持ち込み禁止の肉類を魚として持ち込もうとしていたのです。豚の皮を揚げたスナックや、豚肉をペースト状にしたものなど、種類は様々。その総重量は驚きの18キロで、スーツケースなど合わせて8つの手荷物から出てきました。女性は、「知人に頼まれて持ってきただけで、中身は知らなかった」と説明しました。
持ち込みに関して、極めて悪質な場合には、拘禁刑や罰金が科せられます。その中でも特に取り締まり件数が多いのは、肉や肉製品の持ち込みだといいます。
(動物検疫所 関西空港支所・河本俊博 次長)
「海外の国では、口蹄疫(こうていえき)やアフリカ豚熱などの家畜の伝染病が発生しています。これらの伝染病は、肉や肉製品によって持ち込まれる可能性がありますので、日本への持ち込みが禁止ということになっています」
実際に2018年に岐阜県で発生した豚熱は、まさに海外から違法に持ち込まれた肉製品が可能性の一つと見られていて、これまでに全国で43万頭以上の豚を殺処分し、8年がたった今も、終息には至っていません。
また、野菜や果物においては、マンゴーなどに付着し、持ち込まれ、柑橘類などに甚大な被害を及ぼす害虫『ミカンコミバエ』の国内根絶が、1986年に宣言されましたが、それには約50億円、18年もの歳月を要しました。こうした事態を防ぐため、動植物検疫では日夜、厳格な検査を続けているのです。
その最前線で活躍しているのが、『動植物検疫探知犬』です。その優れた嗅覚は、密閉された真空パックの中身も嗅ぎ分けるほどだといいます。
空港内を歩き回って、怪しい荷物を察知すると、おすわりで合図します。家族連れの荷物の手提げカバンから出てきたのは、バナナとみかんでした。生の果物や野菜も、日本への持ち込みは禁止されています。
続いて検疫探知犬が反応したスーツケースから出てきたのは、ファストフード店のツナサンドイッチでした。たとえツナサンドでも、野菜が入っていれば持ち込むことはできません。サンドイッチやハンバーガーの持ち込みは意外と多く、機内食や空港の売店、免税店で買う人が多いといいます。機内食だとしても、肉や野菜が入っていれば、持ち込みは禁止です。海外から帰国の際は、くれぐれもご注意を。
入国者の手荷物をチェックするもう1つの場所が、『税関』です。過去にはシートに包み、体内に飲み込んだコカインや飲み物のボトルに詰め替えられた液体大麻に、高値が続く金や、正規品をおとしめるコピー商品などを摘発してきました。巧妙化する密輸を察知し、水際で取り締まるのが、税関の任務です。
この日、職員が呼び止めたのはイギリスから来た男性です。職員が荷物を開け、不審物がないかをチェックします。さらに職員は『白い布』を取り出し、スーツケースの中や男性のリュックを拭き取り、違法薬物を探知する検査機へと入れました。
すると、検出されたのは幻覚作用のある麻薬『コカイン』と『ケタミン』。詳しく調べるために、男性を検査室へ移動させ、ボディーチェックを行い、所持品などを確認します。しかし、違法薬物は見つかりませんでした。
(税関職員)
「大麻を使いますか?」
(イギリスからの男性)
「大麻?ええ、使います。でも、もちろん持って来ていませんよ。この荷造りのときも、部屋で大麻を吸っていました」
地元のイギリスで、日常的に大麻を使っていると明かした男性。イギリスでも大麻の使用は違法ですが、悪びれた感じはありませんでした。検査で違法薬物が検出されたことについて税関は、検査機の精度が高く、なんらかの形で付着した成分を探知した可能性があるとしました。
(税関職員)
「日本は薬物使用がダメということは、皆さん知っておられるので、持って来られる方は、まずいないです。今回の男性は、特に吸い殻とかもなかったので、税関の検査としては問題なしです」
一方、こちらは一人でカート2台分の荷物を持ってきたベトナム人の女性。職員が段ボールを開けてみると、中から小分けにされた箱がいくつも出てきました。荷物をX線に通して中を確認すると、写し出された画面には、大量の腕時計の影が…。申告書には記載されていないものです。
職員は詳しく調べるために、女性を別の部屋へ誘導しました。時計について「友達に持って行くよう頼まれた」と話す女性…。
(税関職員)
「なぜ時計を申告しなかったんですか?」
(ベトナムからの女性)
「税金が心配だったから。預け荷物だけ申告して、他は申告しなくていいと思ったので」
そう話す女性ですが、このあと検査を進めていくと、驚きの事実が判明しました。
(税関職員)
「あなた、日本に何回も来ていますよね?こうやって別室で検査も受けていますよね?」
なんと、これまでも幾度となく税関検査を受けている、要注意人物だったのです。結局、荷物からは80本を超える腕時計が見つかりました。日本で販売するためと見られていますが、女性がどこで時計を調達したのか、ニセブランド品でないかなど、現在も税関による調査が進められています。(2026年4月2日現在)
密輸の手段として最も多いのが、『国際郵便』です。日々、海外から届く膨大な量の郵便物も、税関職員が一つ一つ手作業でチェックし、疑いがあれば開封して調べています。
ベトナムから届いたという大きな段ボールの中には、『経口中絶薬』100箱が入っていました。日本では未承認の薬だといいます。
(税関職員)
「これだけの数は見ることない。一応個人宛ての荷物にはなっていますけど、そこは分かりません。厚生労働省薬事監視指導課に確認しますが、たぶん輸入できないと思います」
こうした医薬品などの健康に関する商品の個人輸入は、ネットショッピングの普及で年々増加しています。中には、偽造品や安全性が確認されていないものを服用したことにより、死に至ったケースもあるとして、政府は個人輸入への注意を呼びかけています。
荷物を検査中、ある職員は、アメリカの1ドル硬貨に、違和感を持ちました。
(職員)
「ちょっと軽いかなという感じがした。アメリカ『モルガンドル』の偽造品の恐れがあります」
アメリカで100年ほど前まで発行されていた1ドル銀貨。コレクターの間では人気がある銀貨で、製造年によっては数百万円もの値が付くものもあるといいます。
本物であれば銀が90%含まれるはずですが、調べてみると主成分は銅でした。残るほとんどを亜鉛とニッケルが占め、銀はほんのわずかしか含まれておらず、偽造品とみられます。確定となれば、『関税法違反』で、10年以下の拘禁刑、もしくは3000万円以下の罰金が科されることもあるといいます。
僅かな異変も見逃さない鋭い観察眼。日本の安心・安全を守るため、きょうも職員たちの戦いは続きます。
(「情報ライブミヤネ屋」2026年4月2日放送)