作家の佐藤愛子さんが4月29日、老衰のため亡くなった。102歳だった。葬儀は親族のみで執り行われた。佐藤さんの遺志により、お別れの会については行わないという。
佐藤さんは1923年11月5日、作家の佐藤紅緑さんと女優の三笠万里子さんの次女として大阪府に誕生。1950年に『青い果実』を発表し文藝首都賞を受賞、1962年に最初の著作『愛子』を刊行した。
1969年の『戦いすんで日が暮れて』で直木賞、1979年『幸福の絵』で女流文学賞、2000年『血脈』で菊池寛賞、2015年『晩鐘』で紫式部文学賞を受賞。2017年には、旭日小綬章を受章した。
エッセイの名手としても知られ、90歳を過ぎてからも『気がつけば、終着駅』、『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』、『思い出の屑籠』といった作品を世に送り出した。とりわけ、2016年に刊行した『九十歳。何がめでたい』は2017年の年間ベストセラー総合第1位になり、草笛光子主演で映画化もされた。
2021年に断筆宣言をしたものの、”退屈”を理由に再び筆を執り、晩年も毎年新刊が出版されるほど旺盛な執筆意欲で知られた。佐藤さんが著者として記されている最後の本は、今年4月に文藝春秋から刊行された『ぼけていく私』。娘の杉山響子さん、孫の杉山桃子さんと3代による共著だ。
近年は認知症を患っていることを公表していたが、歯に衣着せぬ”佐藤愛子節”はキラリと光り続けた。『ぼけていく私』に収録されたインタビューでは、ユーモアたっぷりに以下のように語っている。
〈私と話しているとぼけることへの心配が払拭される? 励まされるの?(中略)励まされてる人は、ぼけてる人なんでしょう。
ぼけてるヤツを相手に一生懸命励ますなんてね、ナンセンスですよ。励まされようなんて思った時点で、だめ。修行のし直し!〉
100歳を超えてもパワフルに、自分らしさを貫いた佐藤さん。ご冥福をお祈りします。