安保3文書の改定、「集団的自律性」の確保を明記へ…「経済の武器化」に同志国と連携して対処

政府は、年内に改定する国家安全保障戦略など安保3文書に、経済安保に関する新たな戦略概念として「集団的自律性」の確保を明記する方向で検討に入った。重要物資の輸出規制など特定国への依存を利用した「経済の武器化」などに、同志国と連携して対処するものだ。日本が主導してサプライチェーン(供給網)強化や国際経済秩序の構築を図る決意を示す。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。
重要物資を巡っては、中国がレアアース(希土類)の輸出規制による経済的威圧をかけている。イラン情勢の緊迫でホルムズ海峡が事実上封鎖され、中東からの輸入に依存する原油調達の代替ルート確保に迫られている。
こうした状況も踏まえ、政府は、重要物資の調達から製品化に至る供給網維持など、社会・経済活動の「自律性」を一国のみで確保することが難しく、同志国と連携や分業を行うことによる集団的な対処が必要と判断している。
自民党の安全保障調査会で25日に大筋で了解された党の提言案でも、従来の同志国連携を「集団的自律性」の確保策として位置づけ、経済安保の取り組みを強化するよう求めていた。
具体的には、高市首相が2日にベトナムで表明した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の戦略的な進化を通じて、域内での連携を深める。環太平洋経済連携協定(TPP)の拡大を通じた自由貿易体制の構築も進める。政府が創設する経済安保上の重要な海外事業を支援する制度「海外経済安保事業展開支援(OESA)」も活用する。
中東情勢に対応するため日本が主導する東南アジアなどのエネルギー調達確保に向けた金融支援の枠組み「パワーアジア」などを先行事例とし、重要物資の供給網強化に向けた同志国のネットワークを強化する。
経済的威圧への対抗に向けた検討を始めている各国とも足並みをそろえる。欧州連合(EU)とは、安価な物資流入に対応するため、安全性や持続可能性など、価格以外の調達基準の検討を進めており、こうした取り組みを推進する。
米国も安定的な供給網確保のため、特定の重要鉱物の最低価格を設定するなどの多国間協定「重要鉱物貿易協定(ATCM)」を提案している。
国際会議の主催などを通じ、将来的には経済安保を推進する新たな国際機関の設立も視野に入れている。