聴覚障害を持ち筆談ホステスとして知られる自民党の斉藤里恵議員が27日、衆議院厚生労働委員会に出席。音声読み上げ機器を使用して質問に立ち、手話通訳者の高齢化の問題を取り上げた。
斉藤氏は、「聴覚障害のある方にとって手話通訳や要約筆記などの意思疎通支援は行政手続き、医療、福祉、教育、就労、災害時の避難など生活のあらゆる場面で必要な情報を得て自ら判断し、自分の意思を表明するための情報保障であり、権利保障の基盤です」と主張。
その上で「担い手の高齢化や若年層の参入不足が課題」と指摘し、「このまま若い世代の参入が進まなければ、将来的に意思疎通支援の基盤そのものが維持できなくなる」と危惧(きぐ)。雇用されている手話通訳者の平均年齢に危機感を示した。
そして、「厚生労働省として手話通訳者の登録者数だけでなく実働者数、年齢構成、雇用形態、報酬水準をどのように把握しているのでしょうか」と質問。さらに若年層の参入を促すための支援策についても疑問を呈した。
この問いに厚生労働省の野村知司障害保健福祉部長は、「手話通訳者を確保していくということは情報保障の観点から非常に重要な課題」としたうえで、各自治体などに雇用されている手話通訳者の50代以上が78.7%だと説明。若い手話通訳者が少ない実態が浮き彫りとなった。
1歳の時に病気で聴力を失い、20代の頃に東京・銀座の筆談ホステスとして話題となった斉藤氏は、今年2月の衆議院選挙で初当選を果たした。
国会で聴覚障害の議員が質問するのは戦後初の試みであり、国会側も斉藤氏の登院に合わせ、音声文字変換機器の持ち込みを認めるなど、バリアフリー化を加速させた。
「障害のある当事者が国会に行くことは意義が大きい」という支持者の声は、斉藤氏の存在そのものが多様性の象徴として期待される裏付けともなる。
一方で、斉藤氏の当選をめぐっては厳しい批判も渦巻き、一部報道では「最大の懸念は、彼女の目まぐるしい『党派の変遷』と、それゆえに不透明な『政治理念』だ」と報じられた。
斉藤氏は2019年に旧立憲民主党から参院選に挑むも落選。翌2020年には共産党の支援も受けて都議補選に出馬し、2021年に立憲から都議に当選。ところが2025年に立憲会派を離脱し、今回は自民党から出馬して議席を得たため、冷ややかな指摘もやむを得ない。
だが、斉藤氏は初登院の日、自身のX(旧Twitter)に「この議席をお預かりした責任の重さ、そして国政に携わる使命の大きさを改めて強く実感しております」とつづっていた。議員としての信念を忘れずに貢献していただきたい限りである。