救急隊員への暴行相次ぐ 5時間出場不能となったケースも

救急隊への妨害行為が、命を救う現場に深刻な影響を及ぼしています。
東京消防庁は6月16日、救急隊員への暴行や救急車両の損壊など、救急活動を妨げる行為が相次いでいるとして、都民に理解と協力を呼びかけました。
同庁によると、2026年の救急車出場件数は過去最多を上回るペースで増加。その一方で、救急隊への妨害行為も増えており、救急活動の中断や救急車が出場できなくなる事案も発生しているそうです。

救急隊への妨害行為は、2021年から2025年までの5年間で107件発生。
2026年も5月末時点で15件確認されており、前年の同じ時期を上回るペースとなっています。内訳は、人身被害が7件、物損が4件、その他が4件です。

妨害行為には、救急隊員への暴力や暴言のほか、救急車や資器材を壊す行為などがあります。こうした行為の影響は、車両や資器材の破損、隊員のけがだけにとどまりません。
対応中の救急隊が出場できなくなると、その分、別の救急隊が対応にまわる必要が生じます。結果として、ほかの現場への到着や、医療機関への搬送が遅れるおそれもあります。
実際に5月には、救急隊員が傷病者から暴行を受ける事案が相次ぎ、救急活動に影響が出る事態となりました。
屋外で倒れていた傷病者を救急隊員が観察していたところ、傷病者が突然激高。救急隊員を執拗に追いかけ、「殺すぞ」「ナイフで刺すぞ」などと脅したうえ、十数回にわたって殴る、蹴るなどの暴行を加えたとされています。
この事案では、救急隊員が顔から出血するなどのけがを負い、着用していた眼鏡も破損。制止に入った別の救急隊員も蹴られるなどして負傷しました。2人は別の救急隊によって医療機関へ搬送されています。
この影響で当該救急隊は約5時間にわたり出場できない状態に。追加で救急隊2隊、現場確認を行う消防隊2隊の計4隊に加え、警察官も出場して対応にあたりました。加害者は、その場で現行犯逮捕されています。
また別の事案では、屋内で傷病者を観察していた救急隊員が、傷病者からあごを殴られました。被害にあった救急隊員は消防署に戻った後、医療機関を受診しています。
この事案でも、当該救急隊が約2時間出場できなくなり、追加の救急隊や消防隊、警察官が対応。加害者は現行犯逮捕されています。
その他過去には、救急隊員が腹部や顔を殴られる、噛みつかれる、頭突きされる、蹴られるといった被害のほか、傷病者の関係者から倒されたり殴られたりするケースもあったとのことです。
また、第三者からは救急車を突然叩く、ボンネットを瓶で叩く、フロントガラスを殴るといった車両への損壊行為も確認されています。さらに救急隊の携帯電話を壊す、聴診器を噛みちぎる、感染防止衣を破るといった被害もあったとしています。
東京消防庁は同日、公式Xでも「現場での処置中、複数の救急隊員が傷病者から暴行を受け、怪我を負う事件が発生しました」と報告。
「このような行為について、当庁は法的措置も辞さず、毅然と対応してまいります」としています。
救急車や救急隊員は、助けを必要としている人に一刻も早く処置を行い、必要に応じて医療機関へ搬送するために活動しています。東京消防庁は、限りある救急隊が必要な場所で迅速に活動できるよう、活動への理解と協力を求めています。
<参考・引用>

東京消防庁公式X(@Tokyo_Fire_D)

東京消防庁・報道発表資料「救急隊への妨害行為が連続発生、救急活動への深刻な影響」