【ニューデリー=太田晶久】高市首相とインドのモディ首相による2日の会談に合わせ、日本の民間企業が印側との間で約120件の協力文書を交わす見通しとなった。日本側の事業総額は2兆円規模に達し、急成長するインド市場への進出が進むことになる。会談で打ち出す首脳共同声明案も判明し、海洋安全保障やエネルギー安保などを巡る協力深化が盛り込まれた。
高市首相は1日、政府専用機でニューデリーに到着した。就任後初の訪印となる。首相は出発前、記者団に対し、日印の経済安保協力の推進や技術革新を巡る連携などを訪印の重点事項に挙げ、「官民一体となって日印協力の裾野を広げ、強い経済の実現を目指したい」と語った。
政府関係者によると、今回の合意案件には、富士フイルムによる半導体材料の工場設立の協力や、自動車メーカー・スズキによるバイオガスプラント計画などが含まれる。日本の人工知能(AI)の新興企業がインドの国産AI企業とアプリ開発で協力するなど、幅広い業種で協業を進める。
日印は昨年、首脳間で対印民間投資を10年間で10兆円にする目標で合意しており、今回の2兆円規模の事業はその一環となる。
一方、共同声明案では、昨年の合意内容を再確認した上で、経済安保など喫緊の課題を中心に「日印の相互補完的協力を推進」すると訴えている。高市首相が掲げる「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の進化も歓迎するとした。
安保分野では、海洋安保協力の進展に加え、日本が4月に防衛装備移転3原則と運用指針を見直したことへの評価を表明する。日印の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を年内に開催することも盛り込んだ。
レアアース(希土類)の輸出規制を各国にかける中国を念頭に、経済的威圧や非市場的政策への深刻な懸念も明記した。エネルギー安保では、備蓄を含むエネルギー供給力の強化に向けた協力を進めるとした。
インドでのビジネス環境の改善や中小企業などのインド進出も支援すると記した。JR東日本が開発中の新型新幹線車両「E10系」のインドでの導入に向けた協力の推進もうたった。
科学技術協力を巡っては、「AIを含むイノベーションの促進が、協力の基盤をさらに広げる上で極めて重要だ」と強調した。