高市首相(自民党総裁)は7日の日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)との会談で衆院議員定数の削減法案の先送りを確認し、強硬路線を転換させた。皇室典範改正案の今国会での成立も危ぶまれる事態に直面し、現実的な打開策を探る必要があると判断したためだ。野党側の出方を見極めるため、合意内容を公表しない慎重さも見せた。(森山雄太、薦田大和)
「国会会期が少なくなる中で残る議員提出法案の取り扱いなど進め方について意見交換した」
首相は国会内で短時間の与党党首会談を終えると、記者団にこう語ったが、内容の説明は避けた。8日に中道改革連合に詳細を伝え、理解を得たい考えだ。与党関係者は「野党側が受け入れなければ国会が正常化しない。公表はその後だ」と説明する。
維新との関係を重視する首相は、皇室典範改正案とあわせ、連立政権合意書に明記された定数削減法案と「副首都構想」関連法案の今国会での成立にこだわってきた。自民は首相の意向を受け、6月26日に2法案の審議入りを委員長職権で決めた。この段階では「野党の反発を受けても2法案を成立させ、残る皇室典範改正案の審議で正常化を狙う」戦略を描いていた。
ところが首相がインドへの外遊に出発する当日の7月1日、森衆院議長が与野党に皇室典範改正案の審議を最優先とするよう呼びかけ、事態が複雑化した。与党関係者によると、首相は議長の「介入」に不快感を示したとされるが、定数削減法案と副首都法案の審議は中断を余儀なくされ、皇室典範改正案の審議入りもできない状況が続いた。
会期末が17日に迫る中で、首相は、維新とのパイプ役である木原官房長官に調整を指示した。木原氏らは首相補佐官でもある維新の遠藤敬国会対策委員長らとの折衝を重ねた。維新に対しては、臨時国会で定数削減法案の成立を期す方針とすることで折り合った。
党首会談に先立ち、自民の松山政司参院議員会長は遠藤氏と国民民主党の榛葉幹事長と国会内で会談した。参院でも、皇室典範改正案について速やかに進めることを申し合わせ、環境を整えた。
維新内でも、吉村氏が最重視する「大阪都構想」に関連する副首都法案が定数削減法案と共倒れになることを懸念する向きがあった。維新幹部は「ゼロか100ではない。副首都法案は死守する」と語っていた。
もっとも副首都法案についても、一定の理解を示す国民民主は修正を求めており、協議の行方は見通せていない。維新が最後は折れる局面が続いており、政府高官は「首相はこれまでも維新に譲歩をお願いしてきただけに苦渋の決断だった」と漏らした。
副首都法案巡り会期延長論が再燃か
自民党と日本維新の会が衆院議員定数削減法案の審議を臨時国会に先送りする方針を固めたことを受け、政府・与党は今国会の会期末(17日)までに政府提出法案などの成立を全力で目指す構えだ。
高市首相は7日の与党党首会談後、記者団に「会期(延長)についての話はなかった」と述べた。これまで維新は、会期延長してでも定数削減法案を成立させるべきだと訴えていた。
これに先立ち、衆参両院の野党国会対策委員長は7日、国会内で会談し「安易で大幅な会期延長は認められない」との考えで一致した。皇室典範改正案を除く16本の政府提出法案などの大半は、すでに会期内成立の見通しが立っている。
ただ、与党が提出した「副首都構想」関連法案を巡り、国民民主党の玉木代表は7日の記者会見で「(審議が)会期の中に収まるのか」と指摘した。同法案などを巡る状況次第では、小幅の延長論が再燃する可能性もある。