大阪・難波から関西国際空港までを結ぶ南海電鉄の特急「ラピート」の台車で長さ約14センチの亀裂が見つかった問題で、南海は30日会見を開き、別の車両からもさらに新たな亀裂が見つかったことを明らかにした。南海は問題発覚を受けて24~26日にラピートの全車両を目視で点検していたが、点検自体の信頼性が揺らぐ形となった。南海は検査態勢の見直しを行い、将来的に全ての台車を交換する方針を示した。
南海が会見したのは、問題発覚後初めて。会見で同社取締役の梶谷知志(さとし)・鉄道営業本部長は「皆さまに多大な心配、不安な思いをおかけしたことを深くおわびする」と謝罪した。遠北光彦(あちきた・てるひこ)社長は出席しなかった。
南海によると、新たに見つかったのは約6センチの亀裂で、国土交通省運輸安全委員会から重大インシデントと認定された亀裂が生じた台車と同じ編成の別の台車。29日から専用の装置でラピートの全車両を調査したところ、同日にモーター近くの溶接部分から発見された。
ラピートでは10日以内に1度目視で点検を行っているが、問題発覚後には改めて目視の緊急点検を実施。その結果、26日に別の車両でも10センチ弱の亀裂が見つかっている。
南海は同じような場所に亀裂が複数発生していることから、ラピートの検査態勢を強化。毎始業前に目視で点検するほか、今回亀裂が発生したモーターの受け皿を支える部分を、専用の調査装置を使う重点検査箇所とした。さらに、将来的にラピート全6編成の台車計36台を安全性の高い台車へ変更する。
亀裂の原因については「調査中」としたが、ラピートは導入された平成6年以降、415万キロ以上走行しており、経年劣化や製造時の溶接技術が未熟だった可能性もあるという。
一方、14センチの亀裂が発見されたラピートで23日に車掌が聞いた走行中の異音については、南海は台車製造メーカーの日本製鉄の確認結果や、台車の亀裂が異音が聞こえた場所から離れていたことから、「異音と亀裂の因果関係がない」と説明した。