千葉県柏市の「柏たなか病院」で今年1月、入院していた70代男性患者の点滴に汚物を混入し死亡させたとして殺人の疑いで元看護師の古川美由紀容疑者(51)が逮捕された事件で、病院側は16日、同市内で記者会見を開き、長谷川奉延(とものぶ)病院長は「事実関係の真相解明と責任追及のために捜査機関に最大限協力する」と述べた。
長谷川病院長は会見冒頭で「被害者の尊い命を守り切れず、無念な思いでこの世を旅立たれたことに心より深くおわびする」と謝罪し、再発防止や医療安全の取り組みを進めるとした。
病院側の説明によると、古川容疑者は看護師として15年間の経験があり、昨年1月から同病院の病棟看護師として約1年間勤務。男性患者との間にトラブルは確認されていないとしている。
事件があったとされる1月30日未明は、古川容疑者と男性准看護師が夜勤看護として男性患者の部屋を含むエリアを担当し、古川容疑者がリーダーを務めていた。男性患者の部屋は准看護師の担当だったが、古川容疑者が複数回出入りしていたことを准看護師が目撃。理由について「患者の病状が心配だから立ち寄った」と説明していたという。
准看護師が午前4時過ぎに病室を巡回していたところ、男性患者が「苦しい」と訴えたため、古川容疑者や看護師長らに助けを求めたという。
看護師長が、通常は透明であるはずのチューブ内部が変色していることを発見。点滴チューブを写真撮影した後、新たな点滴ルートを挿入した。その際、看護師長は抜いた点滴チューブを滅菌カップに収納し、足元に置いていたという。
その後、カップがなくなっていることに気付いた看護師長が古川容疑者に所在を確認したところ、「スタッフステーションに移動させた」と答えたという。看護師長はスタッフステーションでカップを発見したが、中に入っていた点滴チューブは、当初とは違う色に変色していたという。
病院側は、点滴袋と患者の血管をつなぐ点滴チューブの側管から汚物が混入された疑いがあるとみている。
男性患者は一時的に症状が改善に向かったが、30日夕方ごろから血圧が低下し、31日午後10時半に死亡が確認された。病院側は事件性が否定できないとして、翌日午後に柏署に届け出を行った。
病院は事件性が疑われたため、30日に古川容疑者と准看護師に出勤停止を命じ、3週間後に古川容疑者から退職の申し出があったという。