女性皇族の身分保持は歓迎、養子案は…元皇族の男性「皇族になることを望む男子がいるのだろうか」

皇族数を確保するため、皇室典範が17日に改正された。現在未婚の女性皇族は結婚後も皇室に残るか選べるようになり、各地で交流した人々は改正を歓迎した。一方、旧11宮家の男系男子を養子で皇族とする制度については、元皇族から先行きを案じる声が聞かれた。(坂場香織、戸田貴也)
「これからも愛子さまに長く国民に寄り添っていただける環境になった」。今年4月、福島県を訪問された天皇、皇后両陛下と長女の愛子さま(24)と懇談したいわき市の山本敦子さん(54)はこう喜んだ。
東日本大震災後、双葉町でファストフード店を開いた山本さんに、愛子さまは「人気のメニューは何ですか」と尋ねられた。山本さんが「スペシャルカツサンドです」と答えると、天皇陛下がおなかをさするようなしぐさをされ、周囲に笑顔が広がった。山本さんは、「ご一家の連携プレーでいい雰囲気が作りあげられていた。皇室が身近になった」と振り返った。
昨年6月、愛子さまは戦後80年にあたり、両陛下と先の大戦の激戦地・沖縄を訪問された。語り部として活動する那覇市の学校相談支援員、花岡麗華さん(50)は懇談の際、ご一家の質問にすぐ答えられない場面があった。愛子さまは帰り際に「先ほどは困らせてしまってごめんなさい」と気遣われたという。
皇室典範は改正されたが、花岡さんは「国民それぞれに色んな思いがあり、何が正解かはわからない。国民に愛される皇室であるために、今後も議論は続けるべきだと思う」と話した。
秋篠宮家の次女佳子さま(31)は、「誰もが安心して暮らせ、幅広い選択肢を持てる社会」を願い、社会的に弱い立場の人々に寄り添われている。
今月3日には、横浜市中区の特別支援学校「横浜訓盲学院」を訪ねられた。5月に続き今年2回目の訪問だった。同校には、視覚と聴覚の双方に障害がある生徒もいる。佳子さまはそうした子の手を握って声をかけ、気持ちを伝えられた。
一人ひとりの障害に合わせて交流する佳子さまの姿に、学院長の星祐子さん(68)は「子どもたちが心を開いている」と感じ、感激したという。
京都産業大の特別教授を務められる三笠宮家の彬子さま(44)と、学生の工房訪問の受け入れなどで協力する伝統工芸「京繍(きょうぬい)」の第一人者、長艸(ながくさ)敏明さん(77)(京都市北区)は、「日本の伝統文化を大切にし、率先して次世代に伝えようとされている。様々なご活動が続いていくことは大変よいことだと思う」と話した。
一方、皇室典範の改正で、1947年10月に皇室を離れた旧11宮家の男系男子を養子として皇室に迎えることが可能になった。
旧宮家の久邇宮(くにのみや)家に生まれ、3歳で皇籍を離脱した元皇族・久邇朝宏(あさひろ)さん(81)は17日、「民間人として過ごし、急に自由が制限される皇族になることを望む男子がいるのだろうか」と話した。その上で、「養子が可能になる15歳といえば中学3年から高校1年だ。本人の意思が固まらない中で、周囲の強い勧めで無理やり養子となる決断を迫られることがないよう、意思確認を十分してほしい」と注文した。
宮内庁は17日、改正皇室典範の成立を天皇陛下と秋篠宮さまに報告した。陛下は栃木県那須町の那須御用邸で静養されており、側近が伝えたという。
同庁の黒田武一郎長官は同日、「皇室の方々の円滑なご活動をお支えするために、お気持ちを十分に踏まえながら、適宜適切に、できる限りの対処をしていく」とのコメントを出した。
養子受け入れ 4家に可能性
皇室の中で旧宮家の男系男子の「養親」となり得るのは、天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻、秋篠宮ご夫妻を除く皇族方だ。
現時点で養子の受け入れ先になる可能性がある宮家などは、常陸宮家、寛仁(ともひと)親王妃家、三笠宮家、高円宮家の4家7人。この4家で男性皇族がいるのは、上皇さまの弟の常陸宮さま(90)が当主を務められる常陸宮家だけだが、高齢のため養子を取るのは難しいとの見方もある。宮内庁幹部は「実際に養子を取る際には、家長である天皇陛下の意向をふまえることになるだろう」と話した。