「強い恨み」視野に捜査 茨城の夫婦殺傷、発生1週間

茨城県八千代町平塚の住宅で、住人の大里功さん(76)が刺殺され妻の裕子さん(73)が腹などを刺されて重傷を負った事件は、31日で発生から1週間を迎える。大里さんが胸など十数カ所を刺されている上、室内で金品を物色した形跡が確認されていないことから、県警下妻署捜査本部は、強い恨みによる犯行の可能性を視野に大里さんの交友関係などを調べている。
大里さん夫婦は24日午前3時15分ごろ、自宅で血を流して倒れているのを次男(42)によって発見された。
大里さんは胸など十数カ所、裕子さんは腹など数カ所を刺され、寝室と縁側付近でそれぞれあおむけに倒れていた。自宅の一部は無施錠だった。
現場には凶器とみられる血の付いた包丁が残されていた。
捜査関係者によると、次男は包丁について「家のものではない」と証言しており、何者かが事前に凶器を用意した上で夫婦を襲った可能性が高い。大里さんの刺し傷の一部が心臓にまで達していたことからも、強い殺意を抱いた人物像が浮かぶ。裕子さんは「目出し帽をかぶった人に襲われた」と話しているという。
現場付近の防犯カメラには、通報の約30分前、大里さん方とは逆方向に走り去る人物が映っていた。県警は映像を回収し事件との関係を調べている。
近隣住民や親族らは、大里さんに関し「トラブルなんてありえない」と口をそろえる。大里さんの妹は「兄はおだやかな人」と語り、同級生の男性は「おとなしくていいやつだった」と振り返る。
県警は今回の殺傷事件に関するフリーダイヤル(0120・008・071)を設置し、情報提供を呼びかけている。中山文雄捜査1課長は「犯人像が不確定な中、断片的な情報が鍵になる。小さな情報でも連絡してほしい」と話した。
(永井大輔)