熊本地震で自宅が火事に それでも患者のために診療続ける医師 病院にも爪痕

熊本県八代市の総合病院で働く医師。実は地震直後に自宅アパートが火災に見舞われました。ただ家を失っても患者のために休まず診療を続けています。
【画像】地震で家財道具が倒れた医師の自宅アパート室内
患者のため診療続ける医師
熊本総合病院 島本将希医師(29)

「かなり強い揺れで、手術台もろとも動いてしまうような状態で、なんとか患者さんを抑えながら周りは手術中なので危険な器具もあるんですけれども、看護師や麻酔科医師が患者さんに被害が及ばないようになんとか押さえて、揺れている時間を耐えたというような感じです」
八代市にある熊本総合病院の外科医・島本さんは患者の手術が終わったまさにその時、地震に遭いました。手術室を出るといつもの景色が一変していたといいます。
「震災の揺れで物は全部倒れてしまった。これでもかなり片付けた方ではあるんですけれど」
この1時間後、自衛隊が捉えた八代市上空からの映像です。火の手が上がる建物があります。実はここ、島本さんが住んでいるアパートだったのです。
仕事の合間をぬって、自宅に戻る島本さんに同行しました。
「ちょっと着替えが足りないので、まだ無事な着替えがあれば取りに行こうかと思ってます」
3階建てのアパートの1階に妻と住んでいた島本さん。燃えたのは3階でしたが、この建物は取り壊されることが決まりました。
「燃えてしまったアパートを見て、その散乱した部屋の状況を実際に目の当たりにすると、急に現実味が帯びてくるというか、これからどうしようかなという不安な気持ちが出てきましたね」

「やばいっすね。家財道具が全部倒れちゃっているのと、部屋自体がすすのにおいというか、煙のにおいで気分悪くなりますね。そもそもここは住み続けるのがダメということで(管理会社から)連絡をいただいているので、どこか別の所を、住む所をまた探さないとですね。仕事もありますので、診療をしながらというところでも家のことはなかなか今は考えられないですね」
アパートに帰ろうにも、住むところがなくなってしまいました。
「もう家がない状態なので、病院の自分の医局、医者の部屋であったりとか、あとは救急外来の空いているベッドがあったらそこで仮眠を取ってというような形で働いています」
病院にも残る地震の爪痕
ただ、その病院にも地震の爪痕が大きく残っています。副院長の堀野さんが案内してくれました。
熊本総合病院 堀野敬副院長

「救急外来の入り口なんですけど、ちょうど入り口前が全部落ちちゃって」
水などの支援物資を運ぶことも難しいといいます。
「資材の搬送もできない。水が来ても上まで上げられない。今人力で上げているんですけど、上の方の階まではなかなかつらい」
水に関してはこんな問題も…。
「昨晩元栓を開けたら結構な漏水が見つかったので、今その対策をやっているところ。今、水が出る所はこの館にはないです。本館しか入院患者はいないので、手術室も本館にあるので。その辺に水を使えないというのがかなり大きい。手術が回らない」
地震から数日たつと、外来の患者の症状も変わってきたといいます。
「今までは外傷の患者さんが多かった。骨折であったりとかも多かったんですが、やはり熱中症(患者)が少しずつ混ざりだした感じがあった」
復旧まで時間がかかるなか、医療に携わるスタッフへの心配も募ります。
「(スタッフの家の)電気やガスが戻っていない所があるので、その辺は病院としてシャワーとかを浴びられるような状況にしたいが、うちがまだ水が戻ってないですから。手厚くはしてあげたいところも山々ですが、できないというのが現状」
医師でもあり、被災者でもある島本さん。限られた環境のなか、自ら志願して仕事を続けています。
島本医師

「一番不安なのはやはりけがをしたりとか、病気になっている患者さんだと思うので、その人たちに少しでも救いになればと思って。本当に無我夢中で働いている感じなんですけれども、それでも頼りにしてくれる患者さんがいるので何とか助けたいというその一心で、その一心を原動力に頑張ってます」
(2026年8月1日放送分より)