埼玉・久喜市長「財政再建」宣言へ…4年後に「貯金」が底尽く状況、全事業をゼロベースで見直し

埼玉県久喜市の貴志信智市長は、市の財政が厳しい状況にあるとして、近く財政再建を推進するための「宣言」を出す方針を固めた。読売新聞の取材に複数の市幹部が明らかにした。大型の建設事業が集中する中、現状の財政運営では2030年度に貯金にあたる財政調整基金が底を尽くことなどを根拠としている。全事業をゼロベースで見直す方針といい、廃止や縮小が相次げば市政が混乱する可能性もある。(河合正人)
市は小中学校3校を統合した市内初の義務教育学校を4月に開校したほか、来年度には新ごみ処理施設の供用が始まる。その後も公共施設の老朽化対策などが控えており、多大な費用が必要となる。
関係者によると、こうした状況を受け、4月に行財政改革を公約に掲げて初当選した貴志市長が、前市長時代の25年度に改訂された中期財政計画を検証した。その結果、人件費や資材費高騰分などが実際より少なく試算されていたことが判明した。
30年度の財政見通しは、借金にあたる市債残高が中期計画では約680億円なのに対し、見直し後は約770億円に膨らんだ。貯金にあたる財政調整基金も、中期計画では30年度に約14億円だったが、取り崩しが増えるとみられることから、検証後はゼロになる見通しとなった。このため、貴志市長は抜本的な改革に着手すべきだと結論づけたという。
貴志市長は既に、前市長時代に方針が示されていた市庁舎の新築方針を廃止し、防災公園管理棟整備を再検討するなどハード事業を大幅に見直す考えを示している。また、来春の行政事務職員採用を募集開始前日に、財政逼迫(ひっぱく)を理由に中止した。
9月市議会では宣言を機に、改革姿勢を一層強めるとみられる。市長を支持する市議は少数にとどまっているため、市長と議会の対立が深まる可能性も出ている。
貴志市長は2日、読売新聞の取材に「現時点では何も言えない」と話した。