「施設側と自社、どっちに従うの?」イオンモール熊本の爆発で露呈した、《二重の指揮命令》が1本化できない”業界の事情”

7月28日に発生した「令和8年熊本地震」、その後発生した「イオンモール熊本」の大規模爆発事故から9日間が経過した(8月6日執筆時点)。 メディアでは連日、被害者や残された遺族の悲しみを伝える報道が続く。
【写真】「当日、何が…」従業員3人が死亡のオンワードHDが公表した《爆発事故の際に起こっていたこと》
その一方で、被害者に対し、店の売上金を金庫に入れることを直接指示し、結果的に従業員を死に至らしめた雑貨店の経営陣には、世間から容赦のない非難の声が浴びせられている。
結果的に今回の爆発事故による犠牲者(3店舗、7名)の多くが、筆者が前回の記事で指摘した「郊外型モールならではの事情(車の鍵、財布など自身の貴重品の確保)」「真面目な責任感(売上金の保管)」により犠牲になっていたことは、テレビをはじめとする各種報道が伝えるとおりである。 返す返す残念でならない。改めて亡くなられた被害者のご冥福とそのご遺族、関係者に対し、お悔やみを申し上げるとともに、負傷された方々の一日も早い回復を願うばかりである。
■逆に、イオンの「危機管理体制の的確さ」も証明された
前回の記事に対して、筆者にはさまざまな業界関係者(デべロッパー、プロパティマネジメント、テナント開発・運営担当者)から意見が寄せられた。
それらを総合すれば、そもそもの事故を起こしたイオンモールの安全管理体制については「想定外の震災という点を考慮しても残念」としながらも、「震災直後の混乱の中で、極めて短時間で客やテナント従業員を避難させた」点には評価する声が多い。
中には、「今回の件ではある意味において、災害時におけるイオンモールの危機管理体制の的確さも証明された。安心して出店できる」といささか早急な結論を出すテナント関係者すらいる。
また件の雑貨店の上司が、被害者に対して命じた「売上金管理」の指示命令についても、現場の悲惨な状況がわからない本部対応として、「自分もそのような指示をしてしまうかもしれない」と答える者もいた。 つまり今回の事件は、商業施設に関連する業界人にとっては、一歩間違えば「自らも間違った指示をしてしまう」危険性をはらんでいるのだ。
爆発事故を起こし、結果的に7名の死亡者を出してしまったイオンモールだが、少なくとも震災時の速やかな避難誘導に関しては、デベロッパー(本稿では、施設運営側についてこのように表記する)側とテナント側、双方の関係者から評価する声が多い。