植田正治写真美術館の前館長を懲戒免職、告訴へ 2600万円横領か

鳥取県伯耆町立植田(うえだ)正治(しょうじ)写真美術館の入館料を着服したとして、同町は27日、前館長(53)を懲戒免職処分とした。町は「正確な額は不明」としたうえで、現時点の横領額を約2600万円と推定し、県警に刑事告訴する方針。
町によると、前館長は1991年に旧溝口町に採用され、合併後の伯耆町職員として勤務。2019年に町教委事務局に出向し、同館長に就任した。今年4月に日光公民館長に異動するまで7年間在任した。
7月に現美術館長が決算資料を作成した際、前館長の作成資料にある年間入館者数と、別の職員が外部団体へ報告していた入場者数に差異があることに気付いた。今月12日に町教委が事情を聴き、前館長は着服を認めたという。
入館料は美術館の金庫に納められ、金融機関への入金は館長の業務だった。前館長は金庫から現金の一部を抜き取り、収入や入場者数の集計データを改ざん。実際より1年間で3000人ほど少なく入場者数を報告し、多い年で400万~500万円を着服していた。「生活費や住宅ローンの返済に充てた」などと説明し、弁済の意思を示しているという。
町は上司にあたる教育次長ら2人を減給10分の1(3カ月)としたほか、町長・副町長・教育長の三役の報酬も減額する方針。
同美術館は95年に設立され、鳥取県境港市出身の写真家、植田正治氏の作品約1万2000点を展示している。町は「混乱を避けるため」として、9月11日まで同館を臨時休館とした。
記者会見を開いた小沢敦彦町長は「世界的な写真の巨匠である植田先生には国内外のファンがおり、先生の顔に泥を塗るだけでなく、写真文化を冒とくすることにもなり、大変申し訳ない」と陳謝した。【山田泰正】