「生きた心地が…」行く手阻む冠水 能登豪雨経験も「規模違う」

「生きた心地がしなかった」
レベル5大雨特別警報が出された富山県氷見市では、市内を流れる少なくとも三つの河川が氾濫した。
日名田地区に住む大橋巌さん(66)は27日朝、車で勤務先へ向かう途中、何度も冠水した道路に行く手を阻まれた。
この日は午前7時前に市内にある妻の実家を出発したが、すでに周辺道路は通行止めになっており、迂回(うかい)ルートを余儀なくされた。
タイヤの半分ほどまで冠水した道路を通ることが何度かあり、「乗り捨てていくことも覚悟した。恐怖を覚えた」。
通常なら15分ほどの道のりだが、約1時間半かかってようやく勤務先の公民館にたどり着いた。
公民館近くでは上庄川(かみしょうがわ)が氾濫し、周辺の水田は一面が水没。川との境が分からないほどだった。
勤務先から1キロほど離れた自宅も浸水被害を受けた。庭に水がたまり、大きな池のようになったという。
大橋さんは「近くの道路でも2カ所で土砂崩れが起きているのを見た。自分の住む地域が被害に遭うとは夢にも思わなかった」と話した。
避難所にたどり着けない人も
石川県中能登町では、27日未明から激しい雷雨に見舞われた。町内に住む50代男性によると、自宅前の道路が50センチほど冠水。濁った泥水が川のような勢いで流れていたという。
自宅の裏手が山に面しているため、身の危険を感じて避難所に向かったが、冠水や通行止めでたどり着けず、車内で3時間ほど待機した。
この地域は2年前の能登豪雨の時にも冠水したが、男性は「当時とは雨の規模が全く違った。地震の時から本当にいろんなことが続いている。明日以降は泥出しをやらなければいけない」と疲労の色をにじませた。【広瀬晃子、鈴木鈴美香、中尾卓英】