見た目だけ「赤字国債に頼らない」消費減税なのかどうかを見極めるポイントとは?税外収入を”流用”する抜け道がある

8月末に締め切られた2027年度予算の概算要求の総額は、143兆0656億円と過去最大となった。金額を示さずに要求する事項要求の予算もあるから、27年度予算案の歳出総額は大きく膨らむ可能性がある。
加えて、8月5日に、飲食料品の消費税率を27年4月からの2年間に限り、現行の8%から1%に引き下げる方針を閣議決定した。この税率引き下げで失われる税収は約4.3兆円。さらに、残る1%相当分の中低所得者向けに現金給付を実施して「実質ゼロ化」するために約0.6兆円、合計約5兆円もの財源が必要となる。それを2年間実施するというのだから、10兆円の財源が必要になる。
高市早苗首相は、東洋経済オンラインの拙稿〈消費減税〉を実現するだけで「選挙公約を守った」といえるのか? 一体不可分な条件「特例公債に頼ることなく」はどうするでも詳述したように、「特例公債(赤字国債)に頼ることなく」消費減税を行うと繰り返し述べてきた。
これから27年度の予算編成だが、27年度分の5兆円だけ財源確保のメドが立っただけではダメである。28年度分の5兆円もメドが立たなければならない。
■減税でトリプル安の「トラスショック」
「財源なき大規模減税」というと、イギリスのトラスショックを連想する。22年9月にトラス首相が発表した「財源なき大規模減税」が、英ポンドの急落、英国債の価格急落(金利の急騰)、株安のトリプル安を引き起こした。その大規模減税は約450億ポンド(当時のレートで約7.2兆円)と、過去50年で最大規模だったが、その大半を国債の新規発行で賄う計画だったため、財政悪化への懸念が一気に高まった。
8月下旬に消費減税の具体化を議論した自民党税制調査会では、その財源にはメドが立ったというが、本稿執筆時点で何をもってメドが立ったのかは明確に示されていない。27年度の予算編成なのだから、27年度分の5兆円だけ手当てできればそれでよく、28年度分は27年になってから考えればよい、ということでは、残る5兆円もの財源がまだ確保できていないと想起させる。これでは、高市首相がよく口にする「財政の持続可能性の実現」は達成されたことにならない。
日本国債10年物の金利も、9月1日に30年ぶりに3%を超えた。28年度分の5兆円も26年中にメドを付けなければならない。
■「税外収入9兆円」は防衛費もアテにしている
10兆円の財源を「特例公債に頼ることなく」どう確保するのか。