自民党の松山政司参院議員会長が石井準一参院幹事長の交代に踏み切るのは、首相官邸との連携を重視したためだ。高市首相(自民総裁)は参院自民の執行部人事に関与できない仕組みとなっているが、参院側の国会運営に不満を持っていたとされ、人事の刷新でわだかまりを解消する狙いがありそうだ。(長谷部駿)
松山氏は15日、党本部で石井氏と面会し、交代させる意向を告げた。面会は5分ほどで終わった。後任には青木一彦参院議院運営委員長をあて、参院政策審議会長には末松信介・元文部科学相を起用する。磯崎仁彦参院国会対策委員長は続投させる方針だ。
松山氏が石井氏の交代を決めたのは、参院側への不信感を持つとされる首相の意向を推し量ったためとみられる。少数与党の参院で予算委員会での充実審議などにより野党へ配慮した結果、首相が目指していた今年度予算の年度内成立は断念に追い込まれた。
「慣例にとらわれない国会運営を目指す首相と参院側との溝が広がった」(ベテラン)とされ、松山氏には官邸サイドから、野党とパイプを持つ石井氏への疑念が水面下で伝わった。
こうした事情を踏まえ、松山氏は官邸からの信頼回復を志向し、石井氏の交代を念頭に置いた人事構想を進めた。一時は有村治子総務会長の起用も模索したが、有村氏は固辞し、所属する麻生派を率いる麻生副総裁も難色を示した。
難航した末、最終的に青木氏に白羽の矢が立った。青木氏は「参院のドン」とも言われた青木幹雄元官房長官を父に持ち、石破内閣で官房副長官を務めた経歴や議運委員長として国会運営を熟知することも決め手となった。
一方、続投に意欲的だった石井氏ははしごを外された形となり、自身に近い議員にはこの日、電話で不満をぶちまけた。
石井氏は今年4月、参院自民内に一定の規模を持つ自身のグループを結成した。首相周辺は「参院の独自性には十分配慮しており、官邸から人事に関しては何もお願いしていない」と関与を否定しているが、参院自民内では「今後の国会運営がスムーズに進まなくなる恐れがある」(中堅)と懸念する声も出ている。