「私の大事なやなちゃん」の疑惑は対岸の火事では済まない。簗農相が、衆院選で自身を支持しなかった地元・栃木県内の首長が率いる自治体の予算を「カットした」と発言した問題。大幅に削られた国交省所管の自治体向けの交付金は、高市首相にとっての自慢のタネだ。これまで選挙区内への交付金「確保」をことさらアピールしてきた。
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「大切な故郷 奈良県のために働いた記録」
高市首相の公式サイトには、そう題した特設ページが存在する。2014年12月から今年1月まで11年2カ月に及ぶ地元・奈良県や選挙区内(衆院奈良2区)の各自治体に関する自身の「実績」をこまごまと紹介。自治体ごとの要望と国の予算「確保」の成果をこれでもかと列挙しているのだ。
目を引くのが「『社会資本整備総合交付金』の確保」との文言だ。交付された各自治体の事業を羅列し、その数は実に335項目に上る。この交付金こそ、簗氏が所管の国交省に「問い合わせた」もの。自分に逆らった自治体への配分を大幅カットする一方で、選挙で応援した首長の自治体は増額──。政治家の「圧力」で予算の多寡が決まるのかが問われている補助金である。
「民主党政権時代の2010年、個別に分かれていた補助金をひとつにまとめ、創設されました。自治体の自由度を高め、『まちづくり』の創意工夫を促すのが目的で、自治体作成の3~5カ年計画に基づき交付されます。メディアは『道路予算』と報じていますが、用途は他にも河川・下水道・都市公園・住宅・公共交通など幅広い。今年度の予算額は9215億円です」(国交省関係者)
1兆円規模の予算を地元に分捕る「利益誘導」を高らかに胸を張る高市首相の感覚はマヒしているが、今年度の奈良県への配分額は約65億円。交付金の総予算が前年度から約602億円(約6%)減る中、約12.7億円(約24%)の大幅アップだ。
■手柄誇張に地元自治体は困惑
人口8万1240人と奈良2区最大の票田である大和郡山市には、約3億6500万円が配分され、主に近鉄郡山駅の移設に伴う駅前再整備事業に充てる。整備は23年度から始まり、32年度までの総事業費は113億円。うち2分の1を交付金で賄い、1年度ごとに予算配分される計画だ。
この事業も高市首相は公式サイトで「大和郡山市からのご要望に対応した件」として、「予算確保」を自らの実績に並べている。大和郡山市の担当者に事情を聴くと、困惑気味にこう話した。
「高市さんが交付金を確保? 市として高市事務所に陳情したとの話は聞きません。そもそも交付金要請は、県経由で国交省の外局である近畿地方整備局に行う。国交省の担当者からの問い合わせもオンラインで年1回程度。高市さんに介入する余地があるとは思えません」(駅周辺まちづくり推進課)
高市首相は自分の成果であるかのように「盛った」のか。いずれにしても「やなちゃん」同様、利益誘導型の古臭い政治センスである。
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