兵庫県が、6月の定例記者会見で不適切な発言があったなどとして男性フリー記者(51)の記者会見への参加を認めなかったことについて、斎藤元彦知事は7日の記者会見で、「記者会見を円滑に行うという観点から、総合的に判断した」と述べた。県政記者クラブは「知事が恣意(しい)的に記者を選別するかもしれないという懸念を払拭(ふっしょく)するに至らず、受け入れられない」とする声明を知事側に伝えた。
このフリー記者は6月3日の記者会見で、県の内部告発問題を巡り、亡くなった告発者の元県西播磨県民局長への懲戒処分について他の記者の質問中に、斎藤氏に対し、「人殺しやないか、お前は」などと発言した。
斎藤氏は7日の記者会見で、「発言は一般的な社会通念に照らして容認しがたく、精神的負担や心理的圧迫を受けるもので、極めて不適切な言葉だ。発言は撤回されておらず、再発の懸念が十分に払拭されたとは言いがたい」と述べた。
記者会見は、県政記者クラブと県が共催し、国民の知る権利に応えるため、クラブ員以外の記者の参加は同記者クラブが参加基準に基づいて可否を判断しており、県もその運用に同意してきた。
同記者クラブは、このフリー記者について、不規則発言で進行を妨げた行為が基準に抵触するとして、6月以降の会見への参加を断ったが、フリー記者が謝罪し、再発防止を誓約する文書を提出したことから8月下旬に参加の基準を満たしたと判断した経緯がある。
斎藤氏は7日の記者会見で、「(会見の)共同開催者としての立場に照らして判断した」と述べる一方、判断の具体的な根拠やこのフリー記者の出席を認める条件は示さなかった。
慶応大の横大道聡教授(憲法学)の話「フリー記者の発言は法的責任を問われる可能性がある内容だが、記者会見への参加の可否とは切り離して考えるべきだ。制限と解除の明確な条件が示されなければ他の記者も質問がしづらくなる」
早稲田大の沢康臣教授(ジャーナリズム論)の話「物議を醸す言論に対して、権力で抑制しようとすれば、記者が萎縮(いしゅく)し、率直な質問ができなくなって記者会見が『お飾り』になる。国民の知る権利、民主主義の枠組み自体を揺るがしかねない」