「白秋献詩」最高賞 刈谷市の石川さん受賞 「きみとわたしだけの秘密」

福岡県柳川市出身の詩人、北原白秋をしのんで命日(11月2日)の白秋祭で披露される「白秋献詩」の最高賞である文部科学大臣賞に愛知県刈谷市立刈谷東中3年、石川珠愛(みあ)さん(15)の作品「きみとわたしだけの秘密」が選ばれた。【井上和也】
主催した柳川市教育委員会によると、小学生、中学生、高校生・一般の3部門に全国33都府県から計8267点の応募があり、特選16点を含む155点の入賞作品が決まった。
石川さんは、受賞作について「忘れた記憶を夢に例え、幼い心の葛藤や甘え、妥協から脱却し、羽化する過程を色彩ある情景にのせて表現した。合唱曲のような詩をイメージして書いた」とコメント。受賞の喜びを「天にも昇るほどうれしい」と語っている。審査した福岡県詩人会は「自己を相対化し、内省する姿が詩へと昇華していると思った」と評している。
表彰式は11月2日午前10時、柳川市矢留本町の白秋詩碑苑で開かれる。石川さんと知事賞の受賞者3人が献詩を朗読する。
きみとわたしだけの秘密
きみの瞳を見つめれば
瞳の奥にわたしが見える
きみとわたしがつながった
口にしなくても伝わった
そよ風にゆれる前髪も
うららかな木漏れ日も
夢を見たんだ
きみと遠くへ行く夢を
ふたりぼっち
どこへだって行けたんだ
きらめく宝石の国から
色とりどりの絵画の中まで
軽やかなワルツを小鳥たちと踊りながら
きみのとなりを歩けば
地面にのびる影はひとつ
口にしなくても伝えたかった

夕暮れに照らされたも
吹き抜ける風も
きみが遠くに行く夢を
ひとりぼっち
きみはどこへ行ったんだ
静まり返った放課後の教室から
光と音が突き刺す繁華街へ
耳障りな夕方のチャイムを聞きながら
きっといつかひとりになると
きみも、わたしも、なにもかも
ほんとうは気づいていた
ほんとうに気づきたくはなかった
夢から覚めたわたし
きみのに、腕に、胴に
銀の閃光が走る
割れたのは鏡
映ったのはわたし
そうだね、もう会えないね
つながっていた手なのに
指先がほつれ遠ざかる影
そうか、もう会わないよ
「きみ」ははじめからいなかった
「わたし」ははじめからひとりだった
さよなら
鏡の中のわたし
幻想のきみ
ふたりだけの秘密