さいたま拘置支所(さいたま市)に収容され精巣がんで亡くなった男性(当時23歳)の遺族が、国に約7000万円の損害賠償を求めた訴訟は15日、東京高裁(中村さとみ裁判長)で和解が成立した。国が治療に不適切な点があったことを認め、解決金として350万円を支払う内容。1審の賠償額150万円から増額された。遺族側が記者会見で明らかにした。
1審・東京地裁判決(2025年10月)によると、男性は強盗致傷罪などで服役中の20年1月に下腹部の違和感を訴えたが、拘置支所の医師は経過観察とした。その後に外部の医療機関を受診して精巣がんが判明。摘出手術を受けたが、翌年7月に亡くなった。和解条項には、外部の病院への移送を適切に判断すべきだとの内容が盛り込まれた。
地裁判決は適切な医療行為を受ける権利が侵害されたと認定したが、早期に発見できたとしても結果を回避できたとは言えないとして賠償金を150万円としていた。訴訟に参加した遺族の人数が増えたことなどから解決金が増額された。男性の母親(51)は「これを機に受刑者もきちんとした医療が受けられることを願っている」と話した。【安達恒太郎】