県は紀三井寺公園(和歌山市)と和歌山交通公園(同)の命名権(ネーミングライツ)を売却することを決め、企業などを対象に募集を始めた。公共施設の維持費捻出やサービスの維持・向上が目的で、背景には県の財政難もある。昨年10月から今回で計4施設となり、命名権売却の動きが加速している。
紀三井寺公園は昭和39年から整備。広さ約17万2300平方メートルで、陸上競技場や野球場、テニス場、球技場・補助競技場、登攀(とうはん)場を備える。今回、この5つの施設の命名権を一括して募集している。公園名の「紀三井寺公園」は命名権の対象外となる。
現在は指定管理グループ「紀の国はまゆう」が維持管理にあたっているが、年間約1億5000万円の経費が必要。県が命名権売却に向け、今年7月にインターネット上で利用者らから意見を募集。155人から意見が寄せられ、5施設の命名権売却については賛成が反対を大幅に上回った。
一方、和歌山交通公園は昭和50年3月に開設し、県交通安全協会が施設を管理している。広さ約1万8000平方メートルで、市街地の道路を模した広場などを備え、幼稚園や保育所、小学生の交通安全教室やイベントで利用されている。年間約10万人の利用者があるが、今後は施設の修繕費も必要になってくるという。
命名権の募集条件は、令和9年4月から3年以上5年以内の期間で、紀三井寺公園は年額2000万円以上(税込み)、和歌山交通公園は同100万円以上(同)を希望している。
紀三井寺公園では、県民が親しみやすく、各施設の競技や用途など特性にふさわしい愛称を募集。和歌山交通公園では、「交通」の単語を含めて「公園」や「パーク」など施設が公園とイメージできる愛称を募っている。いずれも募集は12月4日午後5時まで。
県は令和8年度当初予算で125億円の収支不足(赤字)で、財政状況は厳しい。
県は今年2月に県立体育館(和歌山市)の命名権を5年間計1800万円で売却しており、現在はスケートボード場「わかやまスケートパーク」(和歌山市)の命名権者を募集している。今回の紀三井寺公園と和歌山交通公園で4例目となり、さらに県はこのほかのスポーツ・文化施設など計5施設の命名権売却を検討中としている。
命名権を取得した企業から納付される「命名権料」は新たな財源として活用し、県は「公園や施設のサービスの維持・向上に役立てる」という。