競馬予想やゲームで批判招いた議場スマホ持ち込み、都道府県議会の6割解禁…資料の閲覧など活用・禁止維持も

議員や首長に、議場への私有スマートフォンの持ち込みを認めるか。読売新聞が尋ねたところ、47都道府県議会の約6割が容認していた。かつては禁止だったが、資料の閲覧に役立つなどとして解禁するケースが目立つ。議論に関係ない使い方をして批判を受ける場合もあり、「議事進行には不要」として禁止を維持する議会も多い。(神戸総局 森克洋、梅本寛之)
兵庫県の斎藤元彦知事は、議場にスマホを持ち込んだとして、8月に県議会議長から口頭で注意を受けた。
県議会は2004年、本会議中に携帯電話の着信音が鳴って進行に支障が出ないよう、申し合わせで持ち込みを禁じた。持ち込めるのは今も、職員・議員に貸与される公用パソコンのみだ。斎藤氏は注意を受けた後の記者会見で「議会の判断に任せるが、今まで通りのルールでいいのか」と述べ、県議会のルールへ疑問を呈した。
県議からは斎藤氏に同情的な声も聞かれた。ある県議は議会中、議員控室の自席にスマホを置いたままにしているといい、読売新聞の取材に「『ガラケー』と違い、今のスマホは財布など多様な機能があり、防犯上、手元に置きたい。持ち込み禁止は時代遅れではないか」と話した。
北野実議長は取材に「問題意識は持っている。災害時の外部との連絡手段のあり方やルールについて議論する必要がある」と語った。
私有スマホの持ち込みの可否は、議会の申し合わせで決められることが多い。読売新聞が47都道府県の議会に聞いたところ、28都道府県(9月28日時点)で持ち込みが認められていた。
大阪府議会は、ペーパーレス化で紙での資料配布をやめ、議員向け専用サイトへ掲載することにしたのを機に、20年からスマホやタブレット端末の議場への持ち込みを認めた。持ち込んだ機器は議事に関係する資料の閲覧や検索、メモ機能などに限って使える。
府議の一人は「あまり知らない地元以外の地域の課題をすぐ調べられるのは便利だ。以前は家族からの緊急連絡があっても気付けなかったが、今は手元にスマホがあるので安心感もある」と語る。
宮城県や茨城県などの議会では、持ち込みは可能だが、開会中の使用は認められていない。岡山、山口両県では「電源はオフ」と決められているという。
電子機器の議場持ち込みについて調査している早稲田大学デモクラシー創造研究所の中村健・地域経営部会長は「スマホやタブレットの持ち込みはメリットも多いが、『議事と無関係に使われても困る』として使用を制限している議会も多い」と話す。
議場でのスマホの使用を巡っては、過去に批判を招いたケースがある。
横浜市議会では24年1月に「災害時の連絡手段になる」としてスマホやタブレットの持ち込みを解禁したが、その3か月後、本会議中に市議がスマホで競馬予想サイトを閲覧する姿がテレビ番組で報じられ、苦情が相次いだ。宮城県大河原町議会では同年6月、本会議を見学していた小学生がスマホゲーム「ディズニーツムツム」をしている町議を見つけ、感想文で指摘。この町議は批判を受け、辞職に追い込まれた。
47都道府県のうち19県では、議場への持ち込みが禁止されていた。
「音が鳴ると議事の妨げになる」(岐阜県など)や「議会の秩序を保つため」(青森県など)といった理由が目立つほか、「『言論の府』である本会議場に電子機器は必要ない」(宮崎県)という回答もあった。
富崎隆・駒沢大教授(政治学)は「デジタル化やペーパーレス化が進み、スマホの持ち込みの『一律禁止』は時代遅れになりつつあるが、モラルを問われる事態にならないよう注意しなければならない。『通信機能を切る』『着信音が鳴らないようにする』など、議会でどうすべきかを話し合い、細かくルールを決めておくべきだ」と話す。
国会は不可 「権威損なう」
国会では衆院、参院とも本会議でのスマホやタブレット端末の持ち込みは「権威を損なう」などとして認められていない。
超党派の勉強会は今年7月、本会議場へのスマホ、タブレット端末の持ち込みや通信機能の利用を求める提言をとりまとめた。勉強会の代表の一人で、チームみらいの安野党首は投稿サイト「note(ノート)」で「品位を大事にしつつ、(持ち込みは)しっかり議論していくべきだ」とコメントしている。