【対韓 最後通牒】G7、安倍首相の存在感大きく…トランプ氏は文大統領を痛罵 安倍政権の厳しい態度、韓国には効果的

米国が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権を公然と批判し始めた。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄について、韓国が「米国も理解している」と説明したのを否定して、米国国務省が「強い憂慮と失望感を表明する」と批判したのに続き、島根県・竹島周辺での軍事訓練についても「生産的ではない」とコメントした。
フランスで開かれていたG7(先進7カ国)首脳会議では、ドナルド・トランプ米大統領自ら、文大統領への不信感を何度も口にした。これは、まったく異例だ。あの鳩山由紀夫氏が首相のときですら、バラク・オバマ大統領もそこまでは言わなかった。
一般的に、「中国人は誇り高く批判に敏感だから、相手のメンツを立てつつ批判した方がいい」といわれる。韓国人は「自分に都合よく受け取る傾向がある」ので、遠回しの苦言は効果がない。
日本はこれまで遠慮がちな対応をして、図に乗らせてきた。安倍晋三政権の分かりやすく厳しい態度で、ようやく目が覚めつつあるようだ。
ところで、今回のG7は予想に反した大成功だった。
日本ではNHKが「首脳宣言見送り G7揺らぐ結束」とか報道をしていたが、ヨーロッパなどでの報道は極めて好意的だ。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領が「期待値を高めない」という作戦に徹したのが良かった。特に、イラン問題では、同国のモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相を現地に呼んで、G7首脳との話し合いを伝えて、間接対話を成立させた。
数週間以内に、米国とイランの首脳会談の可能性も出てきて、危機回避の光明が見えてきた。
米国とフランスでもめていたGAFA(米IT4社)など多国籍企業への課税は、OECD(経済協力開発機構)で課税案をまとめることで一致し、それまでは、フランスが売上高の3%に課税することを米国も容認した。報復措置として予告していたフランスのワインへの課税もやめるというのが、欧米では大きなニュースになっている。
トランプ氏は、日本との貿易交渉にも道筋が見えてご満悦だし、ドイツのアンゲラ・メルケル首相とも仲直りして「私の先祖はドイツ人」という軽口も出た。来年はG7を、米フロリダ州の自分のゴルフ場で開催するそうだから、トランプ氏も大阪でのG20(20カ国・地域)首脳会合と、今回のG7で、多国間首脳会議の効用を評価するようになったらしい。
そうしたなか、イラン問題も含めて安倍晋三首相の存在感は大きく、各国テレビ局の映像を見ていても高い注目度が明白だった。「日本の首相もいたのか」という時代を知っているだけに、感慨深い。
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『韓国と日本がわかる最強の韓国史』(扶桑社新書)、『捏造だらけの韓国史』(ワニブックス)など多数。