台風19号の大雨で決壊した長野県長野市の千曲川の仮堤防は17日深夜にも完成する見通しで、停電もおおむね解消に近付くなど各地で復旧作業が進められている。一方で長野地方気象台は、19日にかけて再び大雨が予想されることから、土砂災害や洪水への注意を呼びかけている。【島袋太輔、原奈摘、坂根真理、小川直樹】
国土交通省は17日、長野市で約70メートルにわたって決壊した千曲川に建設中の仮堤防の工事が「17日深夜に完了する見通し」と公表した。13日からコンクリートブロックを約2トン投入するなどして、もともとあった堤防の高さ(5メートル)まで応急的に戻す作業を進める。
国交省北陸地方整備局は、今後の堤防工事について、有識者らでつくる調査委員会などの意見も聞きながら、耐性のある堤防を造るための工法なども検討していくという。
堤防や道路の復旧作業が進む中、停電もおおむね解消しつつある。中部電力によると、13日時点で最大約6万3500戸が停電していたが、17日午後1時40分時点で停電しているのは、千曲川が氾濫した地域を除いて約100戸まで減った。
被害が大きかった長野市穂保では、中部電力の社員が各家庭を訪問し、漏電がないことを確認した上で電気を通す作業を進めた。自営業の川崎信(しん)さん(24)の自宅にも中電社員が訪れ「うちは配電盤が高い位置にあったからキッチン以外は通電できたみたい。ついた瞬間はうれしいの一言。片付けの作業をしていてもすぐ暗くなるから精神的に焦ったけど、気持ちが違う」と喜んだ。
復旧作業が進む一方、気象台は18日から19日にかけて大雨となる可能性が高いとして、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水への注意を呼びかけている。
長野県災害対策本部長の阿部守一知事は「河川の護岸が壊れたり、堤防が弱くなったりしている箇所がたくさんある。道路や人家のそばでも、斜面が崩れやすくなっており、少しの雨でも大きな災害につながる恐れがある」とコメントした。
上田市諏訪形で損壊した堤防を見に来た同市御所の会社員、大塚智さん(62)は「土曜日は100%雨が降ると思うのでどうなるか不安。穂保の方の報道を見ていると、こっちは大丈夫かなと怖くなる」と話した。
県災害対策本部によると、住宅の被害が大きかった長野市の状況が新たに判明した。17日午前10時時点で、長野市の床上浸水は3305棟、床下浸水は1781棟で、浸水は計5086棟に上った。県全体では床上が5506棟、床下3368棟で計8874棟となり、長野市が約6割を占めている。