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《派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、強制性交罪に問われた俳優の新井浩文=本名・朴慶培(パク・キョンベ)=被告(40)の初公判は、開廷から1時間以上が経過した。被害者となった女性への検察側の証人尋問が続いている》
《女性の証言では、新井被告は自身の陰部を女性の口の近くに押し当ててきたという》
検察官「そのとき(被告は)何か言っていましたか」
女性「『なめて』と言っていました。絶対に口を開けるもんかと思っていました」
検察官「なめたり、くわえることはせずに済んだのですか」
女性「はい」
検察官「なめさせたり、くわえさせようとしたことに間違いないのですか」
女性「はい」
検察官「なぜ間違いないといえるのですか」
女性「とても悔しい思いをしたからです。まるで物を扱うみたいに扱われました」
《その後、女性のひざの間に新井被告が体を入れてきた。危機感を覚えた女性は、必死で足を閉じたり、自分の手で自分の陰部を抑えたりして、「入れないで」と訴えた。しかし、新井被告は特に何も言わず、強制的に性交させられてしまったという》
検察官「立ち上がることはできなかったんですか」
女性「はい。できませんでした」
検察官「なぜですか」
女性「部屋が真っ暗で足元がよく見えなくて怖かったからです」
検察官「怖くて逃げられなかったということですか」
女性「はい」
《女性は質問に対し、時折、考え込むような沈黙を挟みながら、慎重に答えていく》
検察官「性交に合意していましたか」
女性「していません」
《合意の有無に関してさらに質問されると、悔しさが募ったのだろうか。女性は涙をこらえるような声で、こう断言した》
女性「自分から受け入れたことは一回もありません。抵抗も続けていました」
《女性は、マッサージの仕事をする中で、これまでにも客から性的行為を求められたことがあったという》
検察官「なぜその時は逃げられたのですか」
女性「その人が私と変わらない身長で、細身の男性で怖くなかったからです」
検察官「部屋の明るさはどうでしたか」
女性「明るかったです」
検察官「今回は逃げることはできなかったんですか」
女性「はい」
検察官「なぜですか」
女性「体格差もありましたし、部屋も真っ暗でどうしたらいいか分からなかったからです」
《性交後、新井被告が別の部屋に行っている間に、女性は荷物をまとめて帰ろうとした。そのとき、新井被告が声をかけてきたという》
検察官「何か言ってきましたか」
女性「『悪いことしちゃったね。これ、おわび』と言ってお財布を渡してきました」
《「受け取れない」と断る女性に、「受け取って」と迫る新井被告。何回か押し問答した後、女性のバッグに現金を押し込んできたという》
検察官「現金を入れられたことに気づきましたか」
女性「最初は気づきませんでした」
検察官「現金は返しましたか」
女性「返しませんでした」
検察官「なぜですか」
女性「そこで突き返しても、また『受け取って』『受け取らない』のやりとりになるのが想像でき、そこから離れたくてすぐに出ました」
《新井被告の自宅マンションを出た女性は、迎えに来た運転手に被害を訴え、さらに派遣型マッサージ店の社長にも相談した》
検察官「今後のことについてどう言われましたか」
女性「会社としてはブラックリストに入れて、予約を受けないようにするしかできないということでした」
検察官「何と答えましたか」
女性「それじゃ気が収まらないと言いました」
検察官「警察に行ったらどうなるか教えてくれましたか」
女性「『警察に行ったら捜査しないといけないし、裁判になったら法廷に出ないといけなくなる』と言われました」
検察官「最初はどう思いましたか」
女性「最初は迷いました」
検察官「なぜ警察に相談したのですか」
女性「何もなかったことにしたくなかったからです」
《女性は、しばらくは勤務を続けたが、その後、店を辞めた》
検察官「客と2人きりでマッサージすることに抵抗はなかったんですか」
女性「抵抗はありました」
検察官「なぜ続けたのですか」
女性「すぐに新しい仕事も見つからないし、生活のためでもありました」
検察官「店は配慮してくれましたか」
女性「いろいろと配慮してくれました。新規の予約を受け付けないようにしてくれて、今までの信頼のおけるお客さんだけにしてくれました」
検察官「店を辞めたのはなぜですか」
女性「ストレスだったのか頭痛がずっとあって、食欲もなくなり体重も減って、続ける自信がなくなったからです」
検察官「辞めたくなかったんですか」
女性「はい」
検察官「マッサージの仕事についてどう思っていますか」
女性「やりがいのある自分に合った仕事だと思っていました」
《女性が店を辞めたくなかったなどと述べる間、新井被告は手に持ったペンでしきりに何かメモをしていた》
検察官「(被告が)お金を渡してきたことについてはどう思いますか」
女性「お金で解決しようとしている。お金で何もかも解決できると思っているとすごく悔しかったです」
検察官「被告の処罰についてどう思っていますか」
女性「刑務所に入って反省してほしいです」
《犯行の詳細を思い出すのは、女性にとってつらい作業であったに違いない。それでも終始はっきりと答え続けたのは、それだけ悔しさを感じているからだろうか。次に、弁護人の質問が始まった》
=詳報(4)に続く