栄養とうまさで「一番の笑顔を」=住民有志、炊き出し続ける―長野

台風19号による被災者が身を寄せる長野市の避難所では、難を逃れた住民有志が炊き出しを続け、健康面を支えている。料理を受け取った被災者は「心が落ち着く」とほっとしていた。
数十人が避難する同市金箱の「古里総合市民センター」では13日から炊き出しが行われている。調理場に立つ海瀬由美子さん(71)は「おいしい料理を食べると、人は一番いい笑顔になる」と話す。有志10人が1回当たり100人分の料理を作っている。
千曲川に注ぐ浅川が流れる金箱地区は、行き場を失った水が街にあふれる「内水氾濫」が発生。多くの家屋が2メートル余りの高さまで泥水に漬かったが、海瀬さんの自宅は免れた。
「配られる弁当はお米と揚げ物ばかりなので、栄養を考えて野菜たっぷりのみそ汁などを作った」と話す海瀬さん。すいとんやおでん、肉じゃが、ししゃもの甘酢あんかけなどを複数の避難所に振る舞い、自宅で不自由な生活を強いられている住民に届けることもある。
夫と猫と自宅にとどまっている善財美枝子さん(72)は、炊き出しを分けてもらった一人。「流れてきたインスタントラーメンを必死にかき寄せて2階に上がった。これで5日間は生きられると思った」と振り返る。電気は復旧しておらず、夜はろうそくに火をともす生活を送る善財さんは、食卓に並んだ品々を見て「本当にありがたい。ご飯があると心が落ち着きます」と話し、思わず手をたたいて笑った。