千曲川 仮の「締切堤防」完成で応急工事は完了 台風19号で決壊

台風19号で決壊した千曲川の長野市穂保の堤防は30日午前9時に仮の「締切(しめきり)堤防」が完成し、応急復旧工事が完了した。同市はこれを受け、台風が上陸した12日から出ていた避難指示を、同市若穂川田、若穂保科の一部を除く市内全域で解除した。
締切堤防は、決壊部分を土で埋めた仮堤防を、河川側からコの字形に囲うように造られている。約320メートルにわたり、仮堤防と同じ5メートルの高さの鋼鉄製の板を二重に並べたもので、間に石や土砂を詰めて補強している。
現在の強度は以前の堤防と同程度で、あくまで新しい堤防を造るための応急措置としている。今後、決壊部分はライブカメラで監視し、増水時以外にも週に数回巡視する。新しい堤防については、国土交通省などが調査する決壊の原因などを基に検討を進めるが、工期などは未定だ。
長野市は締切堤防完成の約2時間後に避難指示を解除。それでも、221人が避難している豊野西小や、211人が避難する北部スポーツ・レクリエーションパークでは午後4時現在、帰宅する人はいなかった。
長野市穂保の自宅が全壊して同パークで暮らす50代女性は「家が流されてつらい状況に変わりはないが、堤防ができたり避難指示が解除されたり前進しているのはいい。ただ、避難指示の範囲が広すぎたから避難所に人が多すぎる」と話した。【原奈摘、坂根真理】