31日午前2時40分頃、那覇市の世界文化遺産・首里城跡に立つ首里城から出火、木造3階建ての正殿など計7棟約4200平方メートルが被害を受け、首里城の主要部分が焼失した。火災は午後1時半に鎮火した。沖縄県警や那覇市消防局が出火原因を調べている。
同消防局などの発表によると、消防車30台が出動し、隊員ら約100人が消火にあたったが、正殿(1199平方メートル)が全焼したうえ、北殿(473平方メートル)、南殿・番所(ばんどころ)(608平方メートル)、奉神門(513平方メートル)、書院・鎖之間(620平方メートル)、黄金御殿(991平方メートル)、二階御殿(429平方メートル)の計7棟が焼損した。正殿内などに保管されていた文化財も焼損したとみられる。
県警や同消防局によると、第一発見者の警備員は「正殿の入り口の鍵を開けたところ、中から煙が出てきた」と説明しているという。
正殿は夜間の立ち入りが禁止されているが、現地では27日から11月3日までの予定で、恒例の「首里城祭」が開催されており、31日午前1時過ぎまでイベント会社の担当者が中庭で機材の設営をしていたという。県警は当時の作業内容などについて話を聞いている。
火勢が激しかったため、付近の住民が避難し、同市が現場近くの公民館や小学校に避難所を開設した。
首里城は那覇空港(那覇市)から東に約7キロの高台の同市首里にあり、現在は沖縄有数の観光地として知られる。
総務省消防庁は31日、消防庁災害対策室を設置。被害状況把握のため、情報収集を始めた。
比屋根照夫・琉球大名誉教授(近代日本思想史)の話「首里城は琉球文化の神髄を語るもので、沖縄県民にとっての喪失感は言葉で表せないほど大きい。沖縄戦で破壊され、長い歳月をかけてやっと復元にたどりつき、伝統的な儀式や祭事の復活に寄与した。歴史的に見て、アジアとの交流拠点だったし、これからも交流拠点であるはずだった。再び復元しなければならない」