脱短命県を目指し、青森県は野菜をたくさん食べて塩分の排出を促すよう県民に呼びかけるキャンペーンを始めた。その名も「だす(出す)活」。県は5年前から、ダシのうまみを活用することで塩分を控える「だし活」の取り組みにも力を入れており、「だす活」との相乗効果で県民性ともいわれる塩分の取りすぎをさらに抑制したい考えだ。【井川加菜美】
「野菜を食べて塩分を出そう。だす、だす、だす活!」。おいらせ町のショッピングセンターで12日昼、三村申吾知事はエプロン姿の県職員とともにマイクを握ると、歌や踊りを交えて買い物客らに野菜の摂取を呼びかけた。
厚生労働省の調査によると、青森県の平均寿命(2015年)は男性78・67歳、女性85・93歳でいずれも全国最下位が続いている。その要因の1つとして指摘されるのが塩分の摂取過多だ。
同省の16年の調査によると、食塩摂取量の1日の平均は、男性が11・3グラムで全国ワースト7位、女性が9・7グラムで同4位。目標値は8グラム未満だが、12年に実施された前回調査と比べあまり改善が見られなかった。
県は9月、「だす活」促進に向け職員らによるキャラバンを結成。旬の県産野菜を活用したレシピも発表し、県民に向け一日にあと50グラムの野菜摂取を促す。ミニトマトなら5個、キュウリなら半分、玉ねぎなら4分の1の量だ。「だし活」「だす活」を推進する県総合販売戦略課の斎藤直樹課長は「今の旬はトマトやナス。もう少しすれば、鍋野菜の白菜や大根もおすすめ」と呼びかける。
同省の調査によると、県民一日あたりの野菜摂取量の平均は300グラムで、目標の350グラムまであと少し。県は「だす活」を通じた県民の野菜摂取量の増加と塩分抑制に加え、県産野菜の消費にも期待を寄せる。斎藤課長は短命県の返上に向け「減塩に関心はあるが、なかなか行動に移せない人の背中を押したい」と意気込んでいる。