東京都目黒区のアパートで2018年3月、船戸結愛ちゃん=当時(5)=が父親からの暴行後に死亡した事件で、結愛ちゃんに医療措置を受けさせなかったなどとして保護責任者遺棄致死罪に問われた母親、優里被告(27)の裁判員裁判の初公判が3日、東京地裁(守下実裁判長)であった。優里被告は罪状認否で「事実はおおむね認めます」と述べた上で、「(父親が)結愛を殴ったのは知らなかった。報復が怖くて通報できなかった」などと語った。
事件では、父親の雄大被告(34)も同罪のほか、結愛ちゃんに対する傷害罪などで起訴され、初公判は10月1日。
検察側の冒頭陳述などによると、結愛ちゃんは両被告と弟の4人家族だったが、雄大被告の実子ではなかった。18年1月に香川県から目黒区に転居して以降、雄大被告の暴行がエスカレート。ほぼ軟禁状態で生活し、「朝4時に起こされ、たたかれたり水シャワーを浴びせられたりした」と指摘した。
同2月末、雄大被告から風呂場で顔を殴られるなどして寝たきりとなり、3月2日に心肺停止状態で病院に搬送された。全身に新旧のあざがあり、体重は約12キロで、死亡までの2カ月間で約4キロ減っていた。
弁護側は、起訴内容を争わないとした上で、雄大被告からの心理的ドメスティックバイオレンス(DV)で「洗脳されているような状態だった。抵抗は困難だった」と訴えた。
起訴状によると、優里被告は18年1月下旬ごろから、結愛ちゃんを栄養失調に陥らせ、雄大被告の暴行を知りながら放置。虐待の発覚を恐れて病院に連れて行くなどの措置を取らず、3月2日に死亡させたとされる。
[時事通信社]