監視カメラは「反対住民への嫌がらせ」 施主に賠償命令

名古屋市瑞穂区のマンション建設をめぐり、業者が防犯カメラ10台を設置して建設に反対する住民らを監視したとして、住民4人が業者に400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、名古屋地裁であった。
唐木浩之裁判長は、うち1台のカメラについては「住民への嫌がらせ的な意図の疑いがある」とし、施主のイワクラゴールデンホーム(同市)と日本建設(大阪市)に計5万円の支払いを命じた。
判決によると、カメラは2016年7月から翌年にかけ、現場の塀の上から公道を挟み、住民宅玄関などが映り込むよう設置され、工事終了の18年3月までに撤去された。当時、反対運動が展開されており、防犯や小競り合いの証拠保全などの目的で設置したことは認めた。この1台は撮影機能のないダミーカメラで、設置の合理的な理由がなく、むしろ「住民の平穏な生活を害する」と精神的苦痛を賠償すべきだとした。
判決後、賠償請求を認められた原告住民の妻(40)は「夜もカメラのLEDの赤い光が見え、のぞかれていると思うと、カーテンも開けられなかった。うれしい」と語った。被告側の弁護士は「判決文を受領しておらず、コメントできない」としている。
このマンション建設をめぐっては、工事監督を突き飛ばしたとして暴行罪で逮捕、起訴された反対住民について、名古屋地裁の無罪判決が確定している。