累計発行部数5000万部を超える漫画『ろくでなしBLUES』。1988年から97年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載され、東京・吉祥寺にある帝拳高校を舞台としたヤンキーたちによる学園モノ漫画で、ジャンプ史に残る名作だ。主人公・前田太尊の不器用ながらも強くて優しいキャラクター、自分の思いに真っすぐに生きる姿は多くの読者の心をつかみ続けている。
その『ろくでなしBLUES』やテレビドラマや映画化された野球漫画の『ROOKIES』、お笑いを題材にした学園モノ漫画『べしゃり暮らし』の作者である森田まさのりさんが、9月24日に初めて漫画ではない書籍を上梓した。タイトルは『べしゃる漫画家』。写真家のタカハシアキラさんが、森田さんの日常や活動をレンズに収めたことをきっかけに誕生した本で、2人の共著となっている。森田さんが仕事場で鬼気迫る表情で原稿執筆に集中する様子などを収めたタカハシさん撮影の写真をはじめ、森田さんの仕事観や哲学に触れたインタビューが載っている。
この本の出版イベントが発売に先立つ形で9月21日、東京都新宿区にある「おとなのジャンプ酒場」で開かれた。森田さんの単独インタビューについては記事の前編である『ろくでなしBLUES』作者・森田まさのりが明かす「人を笑わせる仕事哲学」でお伝えした通りだ。
加えてこの出版イベントでは、森田さんとタカハシさんのほか、本の構成や原稿を担当したライターの唐澤和也さんの3人が対談し、本の内容に触れながら近年の森田さんのお笑いでの活躍振りや、『ろくでなしBLUES』にまつわる秘話などを語った。
一体どんな秘話が話されたか。森田さんは近年漫画家としてどんな活躍をして、なぜ漫才コンクールの「M-1グランプリ」に出場したのか。2回に分けて余すところなくお届けする。
唐澤: 今日はよろしくお願いします。書籍発売前のリリースに森田さん自身が「何で作ることになったんでしたっけ(笑)?」と書かれていたかと思います。これについて改めて語っていただくとすると、なぜこの本を作ることになったんですか~?
森田: 僕はもともとしゃべるのがものすごい苦手なんです。だからこんなふうになるとは思っていなかったんですけど、去年漫才コンクールの「M-1グランプリ」に出たんですね。
それで僕のM-1のネタが、「何で(漫画家の自分がM-1に出場しているのに)誰も密着してくれないの」っていうネタだったんですけど、実はタカハシさんが密着してくれていたんですね。1回戦から密着していたわけではなかったんですけど、タカハシさんがたまたま応援に来てくれていて、終わってから僕の写真を撮るようになって、そのあとから……。
タカハシ: 打ち上げにちょっとお邪魔させていただいて、先生とお話ししてなかなかこういう現場に立ち会えることはないので、「ちょっと最後まで撮影していってもいいですか」というお話をしました。
森田: それで、ずっと僕の写真を撮っていたというわけです。割と私生活も撮っていませんでした?
タカハシ: そうですね。
森田: うちの仕事場とかも撮ったりしていろいろ写真がたまったので、「これを何か形にできないか」という話になったんですね。「え、僕の写真!?」とは思ったんですけど、集英社さんと相談させてもらって、話をいろんなところに持ち回って、こういう形になりました。
唐澤: 今回の書籍は大きく3部構成になっていまして、1部は森田先生3万5000字インタビューと、ゲストの方が登場する2部、そしてタカハシさんの写真が中心となる写真集的な3部編成となっています。森田さんのオススメポイントみたいなところってありますか~?
森田: 僕が一番面白いなと思うところは、どこでしゃべったのか忘れましたけども、僕の中学校のときの話で、文化祭のときにクラスのみんなで絵を描く話がありまして。「躍動」っていうテーマで絵を描いたことがあったんです。
僕のクラスでは、鶴が飛び跳ねている絵を描くことになって、僕ともう一人絵のうまい石橋くんというのが代表して描いていたんですけど、僕は石橋くんの描いた部分が気に入らなくて、僕がそれを消したっていう話があります。クラスの絵ですけど、人に任せるのが何か嫌だったんですね。
伊集院光、漫画家の小林まこと、そして松本人志
唐澤: ちなみにクラスメイトの反応はどうだったんですか。
森田: 「かわいそう」でしたね(笑)。これ賞なんです。コンテストなんです。何でかわいそうなの。コンテストだから勝たなきゃ。
唐澤: でも中学生でしたからね。
森田: 中3ですね。でも優勝しましたよちゃんと。4クラスしかなかったですけど。
唐澤: すみません森田さん、僕その話を聞いて(書籍を)書いているんですけど、優勝した話はいまはじめて聞きました。
森田: ああ、優勝しました。
唐澤: ちゃんと言ってくださいよ!(笑)。ところでこれ、皆さんも気になっていると思うんですけど、2部のゲストの方もかなり充実しています。
森田: ありがたいことに。これは言っていいんですかね
唐澤: いいんじゃないですかね。
森田: 僕が「神様」と尊敬している方が3人います。すごく大好きで尊敬しているんですが、でも絶対会いたくない人っていう。死ぬまでには一度は会いたいけど、いざ会っても緊張して絶対しゃべれないと思うんですよ。だから絶対会いたくないです今は。そういう人が3人いまして、そのうちラジオパーソナリティーの伊集院光さんと、漫画家の小林まことさんが本には載っています。
このうち「絶対会いたくない」と言いながら伊集院さんとは対談という形で載っているんですけど、これは伊集院さんのほうから逆に「会いたい」って言ってくれて。「なぜ会いたいかをいま手紙に書いています」とまで言ってくださったんですね。それで結局うちの仕事場に来てくださいまして、うちで対談みたいな感じになりました。
対談はただでさえ苦手なのに載せることになりましてね。読んでもらったら分かるんですけど、緊張してほとんど何も言葉が出てきてないんですよ。僕がインタビューしてるみたいな感じになっている。誰も助けてくれない。でも唐澤さんにうまくまとめてもらって。
唐澤: そもそも伊集院さんをお好きになったのはラジオがきっかけですか?
森田: ラジオです。僕の漫画『べしゃり暮らし』が始まってから、実は伊集院さんのラジオを聞いていたんです。もしも『べしゃり』を始める前に伊集院さんのラジオを聴いていたら、『べしゃり暮らし』はラジオの漫画になっていたかもしれないです。構成作家とラジオDJの話になっていたかもしれない。それぐらいです。
唐澤: なるほど。ベースにあるのは、この漫画もそうですけど、やっぱり芸人さんへのリスペクトというような感じですかね。
森田: リスペクトですよ。僕はもともと人を笑わせるのが大好きで、話をするとき必ず最後にオチみたいものがないと、何となく嫌な感じなんですけど、うまくしゃべれないんですよね。語彙が少ないし知識がないし、照れ屋だしみたいところがあって、そういうのをやすやすとやってのける芸人さんというのはやっぱり尊敬しますし、すごいなと思いますね。
唐澤: その延長線上に先生がM-1に出場して、その様子をタカハシさんが追いかけるというのがありますが、どうつながるのか。そもそもなぜM-1に出ようと思ったのですか?
森田: M-1に出ようと思った理由はこの本の中にも書いてあります。『べしゃり暮らし』はお笑いの漫画なんですけど、漫画のネタでは笑えないというのが自分の中でありまして、漫才のネタをそのまま漫画で描いても笑えない。(漫画の)中の人が笑っちゃっているので、「それを読んだ人が笑えるわけがない」というのがあるからです。だからお笑いの漫画は笑えないというのがあったんです。
ところが漫画家の長田(悠幸)君が『キッドアイラック!』(スクウェア・エニックス)という漫画を描いていて、大喜利の漫画なんですけど、読むと面白いんですよ。それが悔しくて「これを描いているやつは誰だ」って。そしたら「タピ岡ススル」っていう名前で大喜利をやっている結構有名な大喜利ストだっていうのが分かりました。
唐澤: タピ岡ススル! 今日も遊びにいらっしゃっています。
M-1グランプリ「ベストアマチュア賞」受賞
森田: それが悔しくて、大喜利をやっているというから、大喜利で勝負しようっていうことになりまして、「漫画家大喜利」というのを主催したんですね。長田くんと勝負しようと思って始めたわけなんですが、結局優勝したのは別の人でした。1回目が和田ラヂヲさんで、2回目がおおひなたごうさんが優勝しましたね。それで、その大喜利の打ち上げでですね、ノリで「今度一緒にM-1出ようか」ってなりまして。そのときは「いいですね」みたいな感じになっていて、その次の年ももう一回言ったんですよ。「今度M-1出ようか」って。そしたら、長田くんが眠れなくなったらしくって、「先生ネタできました」って言ってきたんです。
「いやいやいやいや」と思いましたね。2つ驚きがあって、一つは「えっほんとに出る気なの」っていうのと、もう一つは「あなた書いちゃったの」って。ダメでしょ。長田くんに勝ちたいからお笑いや大喜利を始めているのに、特に僕は人の絵を消すぐらいですよ。自分でやりたいんです。あなた書いちゃだめなのに、それが悔しくて。それで、そのときに僕はちょうど引っ越しをしていたんですね。「引っ越しでばたばたしているので、まだちょっと待って」って言って、その間ネタ書きましたよ(笑)。
それで、長田くんが1本書いたっていうから僕が2本書きました。悔しいから。
唐澤: 負けず嫌いですね!
森田: 負けず嫌い。で、吉祥寺の居酒屋で「いっせーのどん!」で交換をしました。お互いまあまあでしたね。長田くんは「漫画家」というネタで、漫画家の立場を生かしたネタで、僕が書いたのは普通の芸人さんがやるような「スマホの持ち方」というのと「AIスピーカー」っていうネタを書きました。
そこでお笑いコンビ「デスペラード」の武井志門さんに見てもらって、武井さん今日も来てもらっているんですけど、どうだったんですか? 面白かったんですかね。
武井: はじめて2人のネタを見た時に、「これやべえことになる」と思った。正直。
森田: 僕らに恥をかかせちゃいけないということで、武井さんに一生懸命指導してもらいました。まあでも2人の漫画家が出てきて漫才やるんだから漫画家のネタをやったほうがいいだろうってね。お相撲さんが出てきてお相撲さんのネタをやらないと変じゃないかということで。だから僕のネタじゃなくて長田くんのネタをもとに育てていくことになったんですけど、もう最初とはだいぶ形が違いますよ。
最初に長田くんが書いてきたネタとはだいぶ姿を変えていますけれども、ご覧になった方もいるかもしれませんが、ああいうネタになりました。
唐澤: 遅ればせながら、2018年M-1グランプリベストアマチュア賞受賞おめでとうございます!
森田: ありがとうございます。
唐澤: なかなかの快挙でしたね。
森田: 赤いジャケットいただきました。
唐澤: タカハシさんはフォトグラファーとしてどこから追いかけたんですか?
タカハシ: 1回戦は普通に先生に「応援に来てください」と呼ばれて、僕はいつもカメラを首からぶら下げているので、中の会場風景もちょっと黙って撮ったりしつつ、そのまま撮影させていただければという話を打ち上げでしました。そしたらネタ合わせとか2回戦とかいろんなものを撮影させていただけて。
森田: 最初に見たのは1回戦ですものね。M-1の1回戦の最初のほうから。あのときはまあまあ上手くなっていたので。最初の舞台はここの会場を借りてやったんですよ。最初のネタ見せというか本番がここで。M-1に出る前の何週間か前だったと思うんですけど、みんな僕のことを知っている温かいお客さんだったので、何言っても受けるんですけど、あのとき来てくれた人いますかね。どうでした?
客: 正直、先生の声がちっちゃくて……。
森田: 何を言っているか聞こえなかったんですね。
客: そうなんです。
担当編集者に言われた衝撃の言葉
森田: あのときね、僕らと武井さんたちデスペラードと、焙煎まめという漫才コンビの3組でM-1みたいなことをやったんですよ。2本ずつネタをやって誰が優勝するかっていう「MM-1グランプリ」をやりました。それで僕らは優勝させてもらったんですけど、まあまあ下手でしたな。声が小さいっちゅうのがやっぱりね。
唐澤: 細かいですけど、もう一個ついてるMはなんだったんですか?
森田: Morita Masanori-1です(笑)!
唐澤: すみません気付かなくて。タカハシさんは森田さんをずっと追いかけていて、先生の意外な面を見てしまったり記憶に残っていたりしたことってありますか?
タカハシ: それこそ今日1個言おうと思っていたエピソードは、この本で伊集院光さんと対談をしているくだりがあるんですけど、編集者の2人と、唐澤さんが帰られて、僕も「お疲れさまでした」と言って帰ろうとしたんですけど、森田先生が「タカハシさんちょっと残ってください」って言われたんです。何かお話があるのかなと思って、お三方を見送って、残ってスタジオに戻ったら「ああ緊張した」って森田先生がおっしゃって。もう一人になるのが心細すぎて、僕を残して「とりあえず話を聞いてくれっ」て1時間ぐらい。そういうことがありましたね。
森田: 僕はあのとき、伊集院さんに渡すお土産を用意していたんですよ。伊集院さんは野球が好きで、野球漫画もたくさん集めてらっしゃるというので、伊集院さんが読んだことはないであろう野球漫画を、まんだらけで探しだしてきて用意していたんです。それで対談中、机の横に置いていたんですけど、緊張して渡すのを忘れちゃったんですね。「ああどうしよう、どうしよう」と思って。それからどうしたんでしたっけ。
タカハシ: そのあとに伊集院さんともう1回飲む機会が。
森田: もう1回飲みに行ったんです。対談後に「連絡先を交換しましょう」って言ってもらえたんで、LINEを交換させてもらっていたんですね。それでLINEで「お土産をお渡しするのを忘れていました」って言ったら「じゃあ飲みましょう」と言ってもらえて、それで飲みに行って、そのときに渡したんです。写真も撮ってもらいました。
タカハシ: もうずーっと伊集院さんがしゃべっているのを「ハイ」って聞いている。そのとき「全然しゃべれなかったー」って帰りにぼそっと言いながら。
森田: 伊集院さんのラジオってみなさん聞いていますかね。伊集院さんってやっぱりすごいんですよ、しゃべりが。あの日もそうでしたけど、話を組み立てているのかどうか分からないですけど、たぶん自分が発した言葉に反応してしゃべっているんですよね。オチまで考えているような気はするんですけど、そこに行くまでにあれこれ面白いことを思い付いたら、最初考えたことを捨ててまで思い付いたことをしゃべっている感じなんです。
全然オチと違うところにいくこともきっとあるんでしょうけどね。あれは他のDJさんにはできないんじゃないですかね。あんな『しゃべりの天才』というのはいないと思います。僕がしゃべりで一番尊敬している人ですね。
唐澤: 『べしゃり暮らし』の主人公の圭右(けいすけ)もアドリブの天才という設定ですね。いまのお話を聞いていても、やっぱり芸人さんのいろんな良さがあると思うんですけど、アドリブができることに惹(ひ)かれるんですか?
森田: 僕が一番できないのがアドリブの部分なので、やっぱり惹かれますね。しかも面白いことがちゃんと言えないといけないわけじゃないですか。
唐澤: 森田さんは、僕からすると非常に謙虚な方だなというのがあるんですけど、事前の準備は入念にしてくださって、伊集院さんの質問を21個も自分で作られていました。
森田: 「理想の死に方は何ですか」って。
唐澤: これは本に書かれているので読んでください。何でしょう。この努力みたいなことっていうのは、森田さんの中では当たり前なんですか? アドリブではないですけど、事前準備や漫画で言えばリサーチを欠かさないですものね。
森田: リサーチを欠かさないというのは、昔は行き当たりばったりで描いていたんですよ。それこそジャンプの『ろくでなしBLUES』『ROOKIES』は、ほんとにもう来週のことは来週考えるみたいな感じで、全然先のことを考えないで描いていたんです。そしたら、これは有名な話ですが、若手の担当編集者から「森田先生はインプットが足りないからな」と言われたことがあるんです。
唐澤: 何年目の人でしたっけ?
森田: 1、2年目の人ですね。『ROOKIES』をやっている頃だから、僕が漫画家になって12~13年目ぐらいのときだったんじゃないかな。
唐澤: その(担当編集者の)人が「ROOKIES」ですよ(笑)。
森田: そのせりふを言われた店のテーブルの場所まで覚えています。吉祥寺のルノワールのあの窓際の席まで出てきます。(その編集者は)のちのち副編集長になる男なんですけどね。「先生はインプットが足りないからな」って、俺もやっぱり思い当たるとこがあってね。高校卒業してすぐこの世界に入って何にも時間がない。だからインプットがないというのは分かるので、描けることといったら学生生活とか。
就職したこともないし、バイト経験もほとんどない。合コンとかもしたことがないし。描けることといったらまあそういうことだけなので、インプットが足りない。だから今度の作品を描くときはしっかりリサーチや取材をして描こうと。その言葉を言ってもらったおかげなんですけどね。そういうふうにできたのは。
唐澤: それで言うとM-1出場というのもリサーチとも言えないことはないですよね。
森田: 『べしゃり』を描いていなかったらたぶん出ていないかな。でも漫才師さんというのは描いてなくとも憧れではありました。僕は人を笑わせるのが好きだし、出たかったかもしれないです。誰か漫画家さんが先にM-1に出たら絶対悔しいですからね。
唐澤: 先にやりたかった。
森田: はい。
唐澤: 負けず嫌いですよね。
森田: 嫌でしょ、他に誰か出たら。俺らのあとで『キン肉マン』のゆでたまごさんが出たそうにしているんですけど、勘弁してくれよと思いますね。
笑い声とは「五線譜の一小節のなかに音符が隙間なくある感じ」
唐澤: でも最初ですから。
森田: 最初ですから。ベストアマチュア取ってよかったな。
唐澤: ベタな質問ですけど、出たおかげで『べしゃり』の最新刊にフィードバックというのはあるんですか。
森田: そうですね。僕らは漫画家としてのネタをやったので、つまり僕らにしかできないネタをやったわけじゃないですか。圭右たちが自分たちにしかできないネタをやろうというのはそこから浮かんだことですかね。
あとはM-1に出てみて、思っていたこととそんなに違うってことは割となかったんですよ。すごい緊張するだろうなというのはまあ思っていた通りでしたね。出るとなったらそれだけでいっぱいいっぱいで、いろんなことを吸収するということはできないんですよね。この本には、楽屋でモニターを見ている写真とかもありますけど、ただ見ているだけですので。見ていてみんなが笑うから、「あははっ」て笑いますけど。
タカハシ: そんな感じだったんですね。
森田: 頭の中で必死でネタ繰ってますからね、あのときは。緊張して緊張して。だから実際に出るよりも、自分でカメラを下げて取材に行くほうが見えるものは多かったですね。
ただ、そういう緊張の仕方というのは、実際に出場してみてさらに分かったことではありますね。あとは舞台の上で聞く笑い声、あれはやっぱり貴重でしたね。笑い声の表現の仕方っていうのがうまく唐澤さんに伝えられていなくて、ここに書かれてはいないですけど、この間に僕が取材をされていてうまい表現が浮かんだんです。
五線譜ってあるじゃないですか、音楽の。五線譜のあの一小節のなかに音符がびっしり隙間なくある感じなんですよ。それが無数の和音みたいな感じでそれが一気にどんとくる感じなんです。たぶん芸人さんには分かると思います。
唐澤: めちゃめちゃいいたとえじゃないですか~!
森田: 急きょ書けば良かったですね。
唐澤: 今回の書籍に書いているのは「『どっ』っていうウケたときの表現は間違っていなかった」とおっしゃっていましたね。でも、今の五線譜の表現のほうが全然いいですね。
森田: あとその「どっ」っていうのはもっと「ギャートルズ」の字みたいに厚みを持たせて書いたほうがリアルはリアルですね。
唐澤: イメージとしてですか。
森田: はい。あれが来る感じですね。「ギャートルズ」です。「ギャートルズ」知らないか。えっ「ギャートルズ」知らない。『はじめ人間ギャートルズ』ですよ。知らないですか……(客席を見て)。知ってるやないかい! あんな感じですよ。
(今野大一、河嶌太郎)