速度違反自動監視装置(オービス)の画像に写ったドライバーが被告本人か、友人かが争われた裁判の控訴審判決が14日、福岡高裁であった。野島秀夫裁判長は「画像が不鮮明で、被告が犯人と断定できない」と述べ、被告が運転したと判断して求刑通り罰金5万円とした1審・福岡地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。
福岡県内に住む被告の女性事務員(25)は2015年1月、同県福津市の国道3号で、法定速度(時速60キロ)を超える時速95キロで乗用車を運転したとして、道路交通法違反で起訴された。被告は公判で「私は運転していない。友人に車を貸していた」と無罪を主張。友人も「私が運転した」と法廷で証言した。
1審判決は、オービスの画像を「被告とおそらく同一」「友人とは別人」とした鑑定結果は信用できると判断したが、高裁判決は「画像は全体的にぼやけており、鑑定資料として限界がある。さらに(画像と被告、友人の写真を)目視で比較しており、識別力は低い」と指摘。友人が犯人である疑いが残るとした。
弁護人は「かろうじて性別が判別できるか、というほどの画像の粗さだった。常識に照らしてもまっとうな判断だ」と述べた。福岡高検は「判決を精査し、適切に対処したい」としている。