犯罪加害者家族の支援 鹿児島大に研究会設立 ネットワーク構築目指す

身内が事件や事故の加害者になったことで社会的に孤立する家族をどう支えるかについて考える「加害者家族支援研究会」が今月、鹿児島大司法政策教育研究センターに設立された。先駆者として支援活動に力を入れてきたNPO法人「ワールドオープンハート」(WOH、仙台市)の阿部恭子理事長(41)が講演し「一番身近な家族をサポートすることは加害者の再犯防止にもつながり、社会的に大きな意義がある」と訴えた。【菅野蘭、城島勇人】
12日発足した研究会は、センターに所属する教員や弁護士で構成。リーダーを務め、弁護士でもある同大の原田いづみ教授が、かねて親交の深かった阿部理事長の協力を得て設立準備を進めてきた。
東北大大学院法学研究科でマイノリティー(社会的少数者)の自殺防止について研究してきた阿部理事長は2008年、日本初の加害者家族支援団体としてWOHを設立。逮捕者の名前から自宅が割り出され、中傷被害の末に退職や転居を余儀なくされたり、自殺したりする過酷な家族の現状と向き合い、これまで1500件以上の相談に耳を傾けてきた。
阿部理事長は約40人が参加した講演会で、加害者の子供に対する心理的ケアの必要性を強調。加害者自身が過去に虐待の被害者だったケースが多いことも紹介し「連帯責任として加害者家族を追い詰めていいのか。加害者本人の更生のカギを握る家族を応援することは、結果的に被害者への賠償が進むなど社会的なメリットにつながる」と解説した。
原田教授は「定期的に研究会を開き、加害者家族支援の輪を広げていきたい」と話し、加害者家族の交流会の開催や専門家による支援ネットワークの構築を目指すという。
■熊本でも勉強会
WOHは昨年から九州でシンポジウムや相談会を精力的に実施。熊本県でも今月10日、加害者家族に関する勉強会が熊本大であった。阿部理事長は、海外と比べ、加害者家族の支援体制が不十分な日本の現状を学生たちに紹介。「少年事件の母親へのバッシングは特に深刻。加害者家族の実態を知ってほしい」と呼び掛けた。