栃木県真岡市のアパートで11日、20代の男女が倒れているのが見つかり、その後、2人とも死亡した。亡くなった女性の友人の20代女性が男性と交際をめぐってトラブルになっており、女性は巻き込まれたとみられるが、施錠された室内での事件ということもあり、詳しい犯行状況や経緯、動機など不明な部分ばかりが残されている。(根本和哉)
密室から「助けて」
亡くなったのは、このアパートに住む会社員、川上貴由(たかよし)さん=当時(29)=と、宇都宮市の会社員、大竹七海さん=同(21)。
2人が倒れているのが発見されたのは11日午前1時20分ごろ。大竹さんの友人が助けを求めた警察官が室内に入ったところ、室内には胸に包丁が刺さった川上さんと、十数カ所の刺し傷から血を流している大竹さんの姿があった。
捜査関係者によると、現場のアパートには最近まで、川上さんと大竹さんの友人女性が同居。川上さんと友人女性は交際関係にあった。しかし、事件直前に同居を解消し、友人女性が部屋を出ていた。大竹さんは友人女性が部屋に残した荷物を代わりに取りに入ったという。
友人女性はアパートから数百メートル離れた場所に待機していたが、大竹さんから助けを求める連絡が入ったため、偶然近くを巡回していた警察官に知らせていた。また、警察官が部屋に踏み込む前には、アパートの住民が、大竹さんが発したとみられる「助けて」という声を聞いている。
しかし、施錠された2人きりの密室での事件ゆえ、それ以上の詳しい状況は分からない。大竹さんの体には抵抗した痕があり、刺し傷は背中にも及んでいた一方、川上さんは胸の刺し傷のみ。このことから県警は、川上さんが犯行に至った後、自殺したとみている。
合鍵で鉢合わせ?
友人女性への県警の聴取などから、大竹さんと友人女性は当時、川上さんの不在を狙って、アパートを訪れようとしていた。大竹さんは友人女性から合鍵を預かり部屋に入ったが、不在だと思っていた川上さんは室内にいて、鉢合わせとなったとみられる。
県警が押収した付近の防犯カメラには、川上さんと大竹さんとみられる人影がいったん部屋から出てきた様子が映っていた。その後、再び室内に戻った際、なんらかのトラブルがきっかけで、大竹さんが被害に遭ったとみられる。
大竹さんはこれまでにも部屋を訪れたことがあり、川上さんとも面識があった。このため、捜査関係者は「友人に執着することに対し、注意をするような言葉を投げかけた結果、逆上された可能性もあるのでは」と指摘するが、類推の域を出ない。