秋の渡りのピークを迎え、シベリアから数多くのオオハクチョウが飛来する北海道東の風蓮湖(ふうれんこ)周辺。かつては1万羽前後が立ち寄る日本最大の中継地で知られたが、ここ数年は2000羽を下回るまでになった。減少の原因は分かっておらず、調査した根室市春国岱(しゅんくにたい)原生野鳥公園ネイチャーセンターは首をひねるばかりだ。【本間浩昭】
年6回(うち秋に4回)の個体数調査を行っている同センター。例年であればオオハクチョウの飛来数がピークとなる11月15日の調査(3回目)は、1003羽にとどまった。
今季最大は半月前(1日)の1478羽。それでも最近5年間の最大平均値(2266・8羽)の約3分の2だった。きちんとしたデータが残る2002~11年度の10年間の最大平均値は5019・2羽で、なかでも03年は7161羽を数え、明らかに減少している。
日本で越冬するオオハクチョウの数は、約2万5000~3万8000羽。1980~90年代半ばまでは風蓮湖に1万羽前後が立ち寄り、日本で越冬するオオハクチョウの4割程度が渡りの玄関口にしていたとみられていたが、ここ数年は「せいぜい1割程度」(同センター)と低迷している。
湖に自生する海草のアマモが好物とされ、水深の浅い汽水湖の同湖が中継地として選ばれる要因の一つとされてきた。しかし、近年はデントコーン畑で落ち穂を食べるオオハクチョウをよく見かけるようになった。
同センターの古南幸弘レンジャー(57)は「環境省の調査では、風蓮湖だけでなく道東は全般的に減り、凍結が遅くなった道北のクッチャロ湖などは増えている。温暖化や食性の変化などで渡りのルートが変わっているのでは」と話す。