天然記念物「入らずの森」400年ぶり期間限定で開放 石川・羽咋市の気多大社

石川県羽咋(はくい)市の気多(けた)大社は400年以上前から神域として立ち入りが禁じられている国天然記念物「入(い)らずの森」の神門を12月1日から1カ月間、開門する。懸念されている森の植生の変化について、社会の理解を広げる狙いがある。
入らずの森は、本殿奥に広がる約3・3ヘクタールの原生林で、タブノキなどの樹齢300~500年の広葉樹が生い茂る。1967年に天然記念物に指定された。同神社は2000年以上前に創建されたと伝えられ、加賀藩によって保護された江戸時代の前から森への立ち入りが禁止された。大みそかの神事以外、宮司も入ることはないという。
83年5月には全国植樹祭で来県した昭和天皇が訪問。人を入れずに森を守ってきたことにふれ「斧(おの)入らぬ みやしろの森 めづらかに からたちばなの 生ふるを見たり」との歌を残した。
同神社の三井孝秀宮司によると、以前は森には太陽光が入っていなかったが、最近は海風で大木が倒れた影響などで新しい植物が育つなど環境が変化。今後10年、20年で森が大きく変わる可能性が出てきたという。神社では一般の人にも森の現状を知らせ、一緒に守ってもらおうと、立ち入りを認めることを決めた。
立ち入りができるのは12月1~31日で、この期間に行われる「気の葉祭」に参列して祈願料3000円を納めた人が対象となる。本殿を囲む御垣内(みかきうち)から数メートルの神門をくぐり、3、4歩程度森の中に立ち入ることができる。【井手千夏】