徳島大学病院糖尿病対策センターは、検体検査機器・試薬の研究開発「シスメックス」(神戸市)などと共同で、メタボリック症候群(メタボ)となる危険性を調べる検査キットを開発した。場所を選ばず、自分の指先採血で簡単に検査できる。徳島県内のフィットネスクラブ「ハッピー」(徳島市)が検査結果を踏まえ、症状の改善を目指す個々の運動プログラムを考案することも可能といい、企業や団体向けに9月からあわせて売り込む。
船木真理(まこと)センター長の研究グループなどは、約1400人を対象に血液検査や身体測定などによる追跡調査を実施。血中ホルモンの「アディポネクチン」の値によって、メタボの危険性を判定することができると分かった。血液1ミリリットル当たり男性で6・2マイクログラム以下、女性で6・5マイクログラム以下だと、すでにメタボになっているか、4~5年以内にメタボになる危険性が高いという。
キットは自分で指先に細い針を刺して微量の血液をろ紙に付着させ、検査機関に郵送する。アディポネクチンは、食事や運動による影響を受けないため、どの時間帯に採血しても測定可能といい、職場や自宅で空いた時間で簡単に検査できる。費用は1回7000円で、2~3日で検査結果が分かる。
ハッピーが策定する運動プログラムは、検査結果を前提に、アディポネクチンの値を増加させるような筋肉トレーニングやウオーキングを組み合わせた特別メニューを月10回程度こなす。費用は月1万円程度を予定している。
当面は企業や団体向けに販売するが、将来的には個人への販売も検討する。すでに県内企業や、健康指導プログラム向けに自治体との契約が成立しているという。船木センター長は「年間で1000人の利用を目指したい」としている。【松山文音】