東京都内のアパレル会社で代表取締役らが売上金を着服していた疑いが浮上し、東京地検特捜部が、不正に関与したとされる同社関係者との間で日本版「司法取引」(協議・合意制度)に合意したことが関係者の話でわかった。昨年6月の制度導入以降、司法取引が成立するのは3例目とみられる。特捜部は26日午前、業務上横領容疑で同社本社など関係先の捜索を始めた。
複数の関係者によると、この会社は、東京都渋谷区の「GLADHAND(グラッドハンド)」。
代表取締役らは数年前から多数回、売上金の一部を「裏金」として金庫で保管した上で私的に流用した疑いが持たれている。着服額は少なくとも数千万円に上る可能性があるという。
司法取引では、同社関係者が着服を裏付ける証拠を示す代わりに、特捜部がこの関係者を起訴しないことで合意したとみられる。
民間の信用調査会社などによると、同社は2005年7月に設立され、09年1月に現在の商号になった。社名を冠した「GLADHAND&Co.」など複数のアメカジブランドを展開。渋谷区神宮前に店舗を構え、国内外のセレクトショップなどに商品を卸している。男性向けファッション誌で特集が組まれるなどしており、昨年12月期の売上高は4億円とされていた。
本社の入る渋谷区元代々木町のビルには、26日午前9時頃から特捜部の係官数人が次々と捜索に入り、同10時20分頃からは神宮前の店舗の捜索も始めた。代表取締役の自宅のある都内のマンションも捜索対象となっている。
同社は同日、ホームページで「当局の捜査に全面的に協力する。速やかに再発防止策の策定など必要な対応を進める」とのコメントを出した。