「無人レジだけ」「カメラがたくさん」 ミニストップの省人化実験店舗に行ってみた

ミニストップが無人レジしか置いていない店舗を実験的に運営している。「365table(サンロクゴテーブル)」という名前で、東京都江東区の住宅街の中にある。「実験店なので、(詳細や狙いは)公にしていない」(広報担当者)。人手不足が深刻化し、人件費も高騰する中で、無人・省人化店舗への関心が高まっている。そこで、省人化だけでなく、さまざまな実験を行っているという店舗に実際に行ってみた。

周囲は集合住宅だらけ
365tableは、東京メトロ「南砂町駅」から徒歩10分強の場所にある。周囲は集合住宅だらけで、歩いて数分の場所に大型スーパーがある。

店舗外観はシンプルなつくりになっている。外に設置している看板には「365table」という店名の下に「AEON」のロゴマークが入っている。入口付近にはのぼりがはためいており「毎日うれしい おにぎり100円」とアピールしている。よく見ると、小さいミニストップのロゴマークもある。ミニストップは7月からおにぎりを100円(本体価格、以下同)で販売しているが、系列店だということを強く押し出す意図はないようだ。

店舗のガラスには「缶コーヒー毎日82円」「食パン毎日98円~」というPOPが大きく掲げられている。また、店外の棚にはトイレットペーパーが並べられている。さらに、「おなじみのお酒が毎日おトク!」というポスターも貼ってある。アサヒビールのスーパードライ(350ミリリットル)が188円、キリンビールの本麒麟(同)が125円といった具合だ。毎日使う食料品の安さをアピールして、お客の来店頻度を高める狙いがあるとみられる。

店内に入ると目に飛び込んでくるのが3台の無人レジだ。買う商品を台の上に置き、自分でバーコードをスキャンし、袋に詰められるようになっている。レジ袋は大・中・小の3サイズあるが、いずれも無料だ。レジ袋の隣にはスプーンやフォークが置いてある。記者が来店した際、高齢の男性客が無人レジの使い方を店員に教わっていた。

店内のポスターによると、365tableの営業時間は午前7時から午後11時で、年中無休となっている。コンセプトは「忙しくても、時間がなくてもおいしく、お求めやすいものを、毎日の食卓へ」「その場で食べたり、スムーズなお買い物で毎日ちょっとラクに」ということらしい。

天井には10個弱のカメラ
無人レジの近くには大きなディスプレイが設置されており、店内のカメラで撮影している映像が見られるようになっている。記者が確認できただけで8台のカメラが天井に設置されていた。特に、レジ周辺にはカメラが集中していた。省人化店舗なので、万引きをけん制する狙いがあるのだろうか。そういえば、店の外には「店内スマートカメラについて」という貼り紙があった。その貼り紙には「お客の利便性向上を目的として、スマートカメラで撮影を行っている」「お客のプライバシーを守るため、個人が特定されない情報のみを取り扱っている」「取得する情報は、来店人数、性別、来店時における店内での移動経路、購買履歴」「個人を認識できないように加工した情報を、協力会社に提供することがある」という趣旨の記載がされていた。小売りチェーンの中には、お客の買い物行動を分析するために店内のカメラを活用しているところがある。記者が過去に取材した某チェーンでも、入口に同様の貼り紙があった。

食料品を中心にした品ぞろえ
365tableにはどのような商品が売っているのか。入口付近には、カップラーメン(108円)、レトルトカレー(78円)、フリーズドライのスープ(93円)などが並べられていた。パパっと食べるのにちょうどいい食品をアピールしている。

店内で売られている商品のほとんどは食料品だ。「酒・飲料」「お菓子・レトルト食品」「冷凍食品」「おにぎりや総菜」といったラインアップになっている。これだけ見るとミニスーパーとそれほど変わらないような印象を受けるが、冷凍食品コーナーには特に力を入れていた。アイス、から揚げ、ギョーザ、ブロッコリーなどがずらりと並んでいる。同じ店舗サイズのミニスーパーと比較しても、売り場面積や商品数は圧倒的に多い。ちなみに、「ガリガリ君」だけで少なくとも8種類置いてあるのが確認できた。コンビニ大手は消費者の中食ニーズが高まっている現状を受けて、冷凍食品に注力し始めているが、365tableは“冷凍食品推し”を特に強めているようだ。

お菓子やペットボトルをよく見ると、イオンのプライベートブランドである「TOPVALU(トップバリュ)」の商品がいくつもあることに気付く。また、おにぎり、弁当、パンなどにはミニストップブランドのものがあった。商品の品ぞろえにはグループの総力を結集している。

無人レジを使ってみた
店内にはイートインコーナーもある。記者はおにぎり、カップラーメン、缶チューハイ、ペットボトルのお茶を実際に購入してみることにした。仕事中にもかかわらずお酒を買ったのは、年齢確認をどのようにするのかを試してみるためだ。

缶チューハイのバーコードをレジでスキャンしてみたが、特に問題なく購入できた。レジの後ろを振り返ってみると、店員はこちらに背を向けて商品の品出しをしている。おそらく、未成年と思われるお客が来店した際には、店内のカメラや店員の目で確認するようになっているのだろう。365tableでは、たばこも他の商品と同じように並べられている。

無人レジには「私は絶対おつりを忘れない!」という目立つPOPが付いていた。店員に「これは何ですか?」と尋ねてみると、「お札のお釣りを忘れてしまうお客さまがいらっしゃるんですよ」と教えてくれた。

至れり尽くせりの電子レンジコーナー
購入したカップラーメンにお湯を注ごうとすると、見慣れぬ機械が置いてあることに気付いた。「卓上型電子湯沸器」と書いてあり、ボタンを押すとお湯が出てくる仕組みになっている。コンビニに置いてあるポットより大きいサイズなので、水を補給する回数が少なくて済みそうだ。もしかしたら、見えないところで水道と直接つながっているかもしれない。湯沸器の横には軽量カップがかけられており、自分で利用するお湯の量が量れる。

電子レンジは全部で4台ある。2台はお弁当用で、残りの2台は冷凍食品専用だ。購入した冷凍食品をイートインコーナーで食べたり、自宅に持って帰ってすぐに食べたいお客には便利そうだ。電子レンジの上にはフリーズドライ用のカップや電子レンジ加熱用のトレイが置いてあり、自由に利用できる。

イートインコーナーの横にはコーヒーマシンが設置してある。コンビニなどでよく見るタイプのものだ。ただ、レジで精算するのではなく、お客が100円硬貨を自分で入れる仕組みになっている。また、コーヒーマシンの横には無料で氷が利用できる機械も置いてある。ボタンを1度押すと、アイスコーヒーにちょうどいい量の氷が自動で出てくる。

イートインコーナーは全部で4席。Wi-Fiが無料で利用できるだけでなく、スマホやノートPCなどの充電もできる。紙ナプキンも設置されており、“至れり尽くせり”の印象だ。ただ、「長時間の利用」「飲酒」「喫煙」「携帯電話の通話」は遠慮してもらうルールになっている。

日本経済新聞電子版(2019年9月2日付)によると、365tableでは常駐する店員はレジ操作の補助や店内の品出し作業に専念するという。また、この店舗の状況を見ながら多店舗化を検討するとしている。無人レジの小型店は同社初なのだとか。

記者が実際に利用した感想は「新しいタイプのミニスーパーだな」というものだ。立地は都市型小型食品スーパーの「まいばすけっと」に似ているが、生鮮食品の影は薄い。あくまで、すぐに食べられる食品を中心にそろえている。また、イートインの新しい形態を模索しているように感じられた。本業が苦しい状況になっているミニストップにとって、365tableは救いの神になるだろうか。