滑走路が午前中に再開された成田空港。都心に向かう鉄道の運休などでロビーに人があふれ、「陸の孤島」のような状態となった。
空港と都心を結ぶ鉄道のうち、JRの成田エクスプレスなどが終日運休。京成の成田スカイアクセスやバスが午後から再開したものの、本数が限られ、多くの到着客が足止めを食った。
ロビーでは、行き場所を失った客らが深夜、床やベンチに座ったり、寝ころんだりしてぐったりした様子。深夜まで到着便があり、成田国際空港会社は「どのくらいの利用者がターミナルで夜を明かすことになるのか分からない」と戸惑いながら、滞留した客らに水とクラッカー、寝袋を配布するなど対応に追われた。
ニューヨークから帰国した東京都江東区の会社員男性(55)は「電車にもバスにも乗れない。空港に泊まるしかない」と嘆いた。
千葉県習志野市の京成津田沼駅前では、午後5時を過ぎても空港へ向かう観光客らがタクシー乗り場に100メートル近い列を作っていた。友人と観光に訪れた兵庫県姫路市の女性(61)は「朝から交通が不便で日中は満足に観光できず、帰りも飛行機に間に合うか心配。仕方ないけど残念」と肩を落とした。
神奈川県内では、架線の断線や倒木などの影響で、多くの路線で復旧が9日午後までずれこんだ。横浜駅の入場制限は午後0時40分まで続き、改札前には長い列ができた。午後3時頃に同駅に着いたという横浜市保土ヶ谷区の会社員男性(49)は「電車が動いてからの出勤でいいと会社から言われたが、もう3時。行ってもすぐ帰る時間になる」と困惑していた。
JR東京駅では、新幹線の切符を買い求めるサラリーマンや観光客らで長蛇の列ができた。新潟県に向かうため新幹線の切符を購入する列に並んでいた千葉県習志野市の会社員男性(61)は「自宅を出てから5時間を過ぎても、まだ東京から出られない」と疲れた様子で話した。