上皇后さま(84)は8日、東京都文京区の東大病院で乳がんの摘出手術を受けられた。手術は2時間半ほどで無事に終了。病理診断などの結果、わきの下のリンパ節への転移はみられず、術後の経過も順調で、数日以内に退院される見通し。
宮内庁によると、手術は午前10時頃から乳房を温存する方式で行われた。左乳房のがん組織は1センチ弱で、周辺を含めて5センチ程度摘出した。術中、がんが最初に転移する「センチネルリンパ節」を検査した結果、転移はみられず、周辺の組織への広がりも確認されなかった。がんの進行度は初期の「ステージ(病期)1」だった。
手術は、上皇后さまの健康診断を長年担当してきた静岡県立静岡がんセンターの医師と東大病院の医師らが担当した。術後、上皇后さまの意識は明瞭で、水も口にされた。夕方には、見舞いに訪れた上皇さまとともに医師団から説明を受け、お二人とも
安堵
( あんど ) した様子で、医師団に「ありがとう」と感謝されたという。
医師団は今後、詳しい病理診断を行い、治療方針を決める。がんの再発を防ぐため、女性ホルモンの働きを抑える療法などが検討される。8日に記者会見した宮内庁の永井良三・皇室医務主管は「(がんが)早く見つかり、適切に取れて良かった」と話した。
上皇后さまは7月の定期健診の超音波検査で左乳腺に
腫瘤
( しゅりゅう ) が見つかっていた。