ホーム転落車、大事故回避に高校生お手柄 非常ボタン押し列車200メートル前で停止

6日に福岡県福津市のJR鹿児島線の東福間駅で軽乗用車が線路内に転落した事故で、ホームにいた高校生らが非常停止ボタンを押すなどして列車との衝突事故を防いでいたことが、JR九州などへの取材で判明した。JR九州は同駅構内にお礼の張り紙を掲示し、高校生らの勇気をたたえている。
事故は、同駅南口のロータリーに進入した高齢男性が運転する軽乗用車が急加速してロータリーを曲がりきれず、柵を突き破ってホームを越えて7メートル下の線路に落下した。同じころ駅を通過する予定だった大分発博多行きの特急ソニックは非常ブレーキをかけ、転落車まで約200メートルのところで緊急停車した。
同駅の近くには県立光陵高校があり、全校生徒約1000人のうち約600人が駅を利用。事故発生当時は下校時間帯だった。
JR九州や同校によると、事故を目撃した同校の複数の生徒らが駅事務所に走り込んで連絡したり、駅員の呼びかけに応じて非常停止ボタンを押したりして特急ソニックを緊急停車させた。110番や119番をした生徒もいたという。
JR九州は、駅構内に掲げた「お礼」で一連の生徒らの行動のおかげで「入線間近の列車は直ちに停車、後続の列車との衝突も防げた」として「勇気ある行動に感謝しお礼申し上げます」と記した。その上で、駅で列車を緊急に停止させる必要がある場合は非常停止ボタンを押すよう乗降客に呼びかけている。
光陵高は「地域のボランティア活動に積極的に参加するようにしており、日ごろの活動のたまものです」と話している。【前田敏郎、平川昌範】