【ニュースの核心】野党「桜を見る会」中止にした成果は率直に評価 しかし、いまだ追及続ける意義は…

野党が「桜を見る会」問題で相変わらず、安倍晋三政権を追及している。私は普段、あまり野党をほめないが、この問題では率直に評価したい。なぜかといえば、早々と来年の会を中止させ、数千万円とはいえ、税金の無駄遣いを改めさせたからだ。これは立派な成果である。
かつての民主党政権時代には、民主党も「桜を見る会」を事実上、自分たちの後援会活動に利用していた。安倍政権を追及すれば、自分たちにも「ブーメラン」になって跳ね返ってくるのを承知のうえで、野党は安倍政権を攻め立てた。
見方によっては、野党は自分たちが向こう傷を負うのも覚悟して、税金の無駄遣いを改めさせた形になる。なんとまあ、素晴らしい自己犠牲の精神ではないか(=ここまで言ったら、ほめすぎか)。
このあたり、マスコミの側も見習うべきかもしれない。
というのは、「桜を見る会」の参加者の中には、悪質なマルチ商法で経営破綻し、特定商取引法違反容疑で警視庁などの家宅捜索を受けた磁気治療器販売会社「ジャパンライフ」の元会長がいた。ネットで報じられているが、元会長はテレビによく登場する政治評論家やコメンテーターたちと親しく、彼らを通じて政界にも食い込んでいった可能性がある。
中には、ジャパンライフの宣伝材料に、実名、写真入りで登場していたケースもあるようだ。
ところが、そんな評論家たちが今回、元会長について何かコメントしているかといえば、どうも口をつぐんでいるらしい。こんな事態になってテレビでコメントするなら、野党のように、多少のブーメラン覚悟で解説した方が、よほど説得力があったのではないか。
私はといえば、残念ながら、元会長と接点はなく、「桜を見る会」も招待状はもらっていたが、毎回欠席していた。
元会長は「総理・官房長官枠」で招待されていた。そこで、野党は「招待したのは総理だった」「いわくつきの人物を総理が招待するとは、けしからん」と追及した。
だが、総理や官房長官には、他の自民党議員からの依頼もたくさんくるので、この論法は少し無理がある。
安倍首相は「これまでの運用を大いに反省し、私自身の責任において全般的に見直す」と国会で答弁した。つまり、責任を認めて「改めます」と言っているのだ。これで、野党の勝利は明らかである。だから、私も今回は、野党を評価している。
さて、そうだとすれば、これ以上、何が問題なのか、私はよく分からない。野党は来年の通常国会でも引き続き、この問題を追及する姿勢だが、やりすぎにならないか。
せっかく得点を稼いだのに、突っ込みすぎると「他にも大事な問題があるのに、いつまで桜をやっているんだ」という話になりかねない。このあたりの、さじ加減をうまく案配できるかどうかが、野党にとって、実は最大の課題である。
戦いは「それ行けドンドン」だけではない。「撃ち方止め」がもっとも難しい。それが上手にできるかどうか。来年の野党に期待しよう。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。